木原稔
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財務金融委員会(平成十八年三月八日)
委員会 財務金融委員会
実施日 平成十八年三月八日
質問事項
(答弁者)
関税定率法の一部を改正する法律案について 谷垣財務大臣
竹本財務副大臣
竹内財務省関税局長
答弁

○小野委員長
 これより会議を開きます。
 内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。本案審査のため、本日、政府参考人として財務省関税局長竹内洋君、金融庁総務企画局長三國谷勝範君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長奥田修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小野委員長
 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原稔君。

○木原(稔)委員
 自由民主党の木原稔でございます。本日は、関税定率法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。大変重要な改正法案ですが、質疑時間が限られておりますので、的確かつ前向きな、建設的な答弁のほどをよろしくお願いいたします。
 まず、法案に関するテロ対策について質問いたします。平成十三年九月十一日、御存じのとおり米国同時多発テロ、それ以降、我が国においてもテロ対策の強化に対する社会的要請が高まっており、国際物流については、経済のグローバル化、情報化が一層進展する中で、さらなる効率化、迅速化が求められております。一方で、諸外国や国際機関の動向に的確に対応した物流のセキュリティーの強化というものが求められているというふうに思いますが、このような状況を踏まえて、税関としてテロを未然に防止するための対策としてどのように取り組んでいるのでしょうか。具体的にお尋ねします。

○竹内政府参考人
 お答えいたします。今委員御指摘のとおり、税関行政におきましては、テロ対策など安全対策の強化と円滑な物流促進を同時に達成することが求められているところでございます。
 こうした観点から、関税制度面におきましては、平成十七年度の関税改正におきまして、政府が一体となって実施しているテロ対策に関しまして、爆発物、火薬類及び化学兵器の製造に使用される特定物質の輸入を禁止し、また輸出された貨物に係る質問検査に係る規定等を整備したところでございます。
 さらに、本日御審議をお願いしております平成十八年度関税改正におきましては、外国から本邦に到着する外国貿易船等の積み荷及び旅客等に関する事項の事前報告を義務化すること、また生物テロに使用されるおそれのある病原体の輸入を禁止するということを提案させていただいているところでございます。
 このほか、水際取り締まりの実施面におきましても、我が国におけるテロ行為等を未然に防止するため、関係機関との密接な連携のもと、銃砲、爆発物、大量兵器等の密輸阻止を目的といたしまして、大型エックス線検査装置等の検査機器の活用、また検査専担部門によるコンテナ全量取り出し検査を実施するなど通関検査体制を強化することのほか、銃砲、爆発物等の疑いのある物品の発見を目的とした税関関連施設における巡回の強化等の対策を実施しているところでもございます。
 また、外国税関当局との間でも情報収集の一層の強化に努めているとともに、税関の国際機関でございます世界税関機構における安全対策にも積極的に取り組んでいるところでございます。
 財務省・税関といたしましては、今後とも、関係機関と密接な連携のもと、適切な対応を図ってまいりたいと考えているところでございます。

○木原(稔)委員
 ありがとうございます。世界一安全な国日本、これに対する国民の信頼または世界の評価というものを低下させないために努力をしていただきたいというふうに思います。
 次に移ります。知的財産侵害物品、いわゆる模倣品、海賊版などを含んだもの、そういったものの水際の取り締まりについて質問をいたします。
 近年、我が国においては、知財立国の実現に向けて官民挙げてさまざまな施策を講じているところでございます。また、昨年七月に行われましたグレンイーグルズ・サミットにおいても、小泉総理がみずから、知的財産侵害物品の拡散防止に向けた国際的な約束を取りまとめていくということを提唱されました。こうした小泉総理の提唱も受けて、こういった知的財産侵害物品の水際取り締まりに関して、税関として現在どのような取り組みをされているのか、また、今後具体的な施策がありましたらお尋ねをいたします。

○竹内政府参考人
 ただいま委員から御指摘がございましたように、私どもといたしましては、知的財産推進計画等を踏まえまして、平成十五年度以降毎年度制度改正を行うなど、その強化に積極的に取り組んでいるところでございます。
 今回御審議をいただいております平成十八年度改正におきましても、輸入や輸出に係る差しとめ申し立て及び認定手続の際に税関が必要に応じ有識者に意見を聞く仕組みや、特許法等の知的財産法において輸出を侵害行為とする改正法案、意匠法等の一部を改正する法律案が提出されると承知しておりまして、これを前提といたしました知的財産侵害物品の輸出取り締まりなどを盛り込んでいるところでございます。
 また、厳しい財政事情のもとではありますが、定員の確保や機構の整備充実などの体制強化に努めておりまして、平成十八年度におきましても、知的財産侵害物品の取り締まりを専担する職員の八名増員、また知的財産調査官の二官増設を行うこととしているところでございます。
 また、税関職員の専門性の向上の観点から、弁理士二名の任期つき採用、あるいは特許庁等の関係省庁の職員等による税関職員に対する研修などを実施しているところでございまして、財務省といたしましては、以上のような取り締まりや税関の体制強化等を通じまして、今後とも知的財産侵害物品の水際取り締まりを強化する施策を推進してまいりたいと存じます。

○木原(稔)委員
 日本の経済を支えている中小企業にとってみては、模倣品とか海賊版取り締まりというのは事実上不可能に近いものがあると思います。費用面ですとか手続の面で負担が大き過ぎる。そういった観点から、さらに言えば、日本は科学技術立国、島国日本が今後ともこの繁栄を維持向上させていくためには、物づくり大国であり続けることは欠かすことができません。そういった科学技術の産物である知的財産とか新製品が次々と今後も開発されている中で、その対策にはスピード感を持って行っていただくように要請したいというふうに思います。特に、中国マーケットを対象にした輸入輸出、その対策を強化していただきたいというふうに思っております。
 さらに、今回の法案を見てみますと、知的財産侵害物品を新たに輸出するということ、これは輸出してはならない貨物というふうになっておりますが、税関では具体的にどのように日本から輸出を取り締まろうとしているのか。思いますに、これは技術的に大変難しい問題であるというふうにも思います。
 さらにもう一点、従来までは、クレジットカード、いわゆる偽造カードの中でデータの入っていないホワイトカードと言われるものは事実上没収が不可能であったのですが、その点について何かありましたらお願いいたします。

○竹内政府参考人
 今お話がございましたように、知的財産侵害物品の取り締まりは私ども大変重要な仕事だと考えております。先ほど申し上げましたが、今国会には、特許法等の知的財産法において輸出を侵害行為とする改正案が昨日提出されていると承知しているところでございましたが、関税制度におきましても、侵害物品の輸出の水際取り締まりを行うことは、知的財産の保護の強化につながり、ひいては経済秩序の維持等公益の保護に資するものと考えておるところでございます。このため、私どもも、今般の関税法改正案におきまして、知的財産侵害物品の輸出を税関における水際取り締まりの対象としたところでございます。この知的財産侵害物品の輸出取り締まりは、輸入取り締まりと同様、輸出差しとめ申し立てがされた権利について重点的に行うこととしております。具体的には、輸出差しとめ申し立ての際に得られた情報等をもとに、重点的な審査、検査を行いまして、侵害が疑われる貨物が発見されたときは、権利者及び輸出者から証拠や意見の提出を求めるとともに、輸出者や関係省庁に意見を聞く仕組みなどを必要に応じ活用し、効果的な、効率的な取り締まりを行ってまいりたいと思います。
 それから、もう一つお尋ねがございました、偽造クレジットカード等の原料となるべきカードを輸入してはならない貨物に追加するという件でございますが、私どもといたしましては、今先生からお話がございました、電磁的記録の記録やエンボス加工が施されていないこと以外は正規のクレジットカードとそっくりのカード、いわゆる生カードでございますが、これを輸入してはならない貨物に追加することにいたしまして、取り締まりを強化したいと考えているところでございます。以上でございます。

○木原(稔)委員
 近年、模倣品、海賊版と言われるものと、いわゆる犯罪組織、テログループ、そのつながりが指摘をされております。いわゆる改造品、模造品の販売されたお金が、テログループ、犯罪組織の資金源となっているという指摘もございます。この知的財産侵害物品を取り締まること、それがすなわちテロの対策にも効果があるということを、認識を持っていただくようにお願いいたします。
 続きまして、経済連携協定、EPAについての質問をさせていただきます。世界的なレベルにおいて、FTAのみならず、このEPA締結に向けた動きが加速している中で、我が国としても、さらなる貿易の円滑化、経済活性化に向けてEPA交渉を各国と進めているというところは承知しております。現在の我が国のEPAに係る取り組み状況、この点に関してもう一度再確認をさせていただきます。と同時に、現在取り組んでいる交渉についても御教示願いたいと思います。

○竹本副大臣
 自由貿易の推進のためには、御承知のとおり、百四十カ国ぐらい参加しておりますWTOというのが一番基本だと思いますけれども、これが御承知のようになかなか結論を得にくい、あるいは、得たとしても、共通項的なことに縛られて個々の国の具体的な需要に十分こたえられないケースもあり得るだろうということで、先生おっしゃるEPAあるいはFTAを積極的に推進しようということで一生懸命取り組んでいるところでございます。
 具体的には、我が国の取り組み状況は、シンガポールが二〇〇二年十一月に、それから、メキシコとの協定は昨年の四月に発効いたしました。マレーシアとは昨年十二月に署名をいたしましたけれども、それに関連する国内法の整備を今回この国会にお願いしようというふうに思っておるところでございます。
 さらに、現在、我が国は、タイ、フィリピン、インドネシア、ASEAN全体、チリ、韓国と経済連携協定の交渉に取り組んでいるところであります。先ほどスピードアップということをおっしゃいましたけれども、中国、韓国、非常にスピードアップいたしておりますので、それを横目に見ながら、我が国もしっかりと早くやりたい、このように思っておる次第であります。

○木原(稔)委員
 先ほど副大臣おっしゃいましたように、マレーシアとの間では昨年十二月に三番目のEPAが署名されたところでございますが、例えばフィリピンとの交渉、これに関して言えば、二〇〇四年の十一月に大筋の合意ができたにもかかわらず、いまだ署名がなされない。全体として、やはりEPA、その実現のスピードは、私は遅いのではないかなと言わざるを得ません。世界レベルにおいて本当に拡大しているEPAの流れ、これに乗りおくれた場合には、私は、我が国は次第に貿易の機会が失われ、そしてまた多大な損失、逸失利益といったものも今後発生するということを感じておりますので、その点について、私はもっと積極的に迅速に進めていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○谷垣国務大臣
 今、木原委員がおっしゃいましたように、世界的にEPAをもっと推し進めようという動きが強まってまいりまして、我が国も官邸を中心に内閣を挙げて取り組んでいるんですが、もたもたしているとよその国に取り残されてしまう、そういうことがあってはならない、こういうことでございまして、きのうの朝、このEPAに関連する主要閣僚が官房長官のもとに集まりまして、もう少しプッシュをする体制をつくろうじゃないかということで意見交換をいたしました。
 例えば、今までは、どこそこの国と経済連携協定をつくるということになりますと、一から議論をしていたんですよ、おたくとは何から始めるかというようなことで。しかし、そういうことをやっているとなかなからちがあかないということもありまして、我が国も幾つか経験を積んできたものですから、やはりモデルみたいなものをつくって、こういうことでどうだというようなことでスピードアップができないかとか、それから、いろいろなことで、関係閣僚がそれぞれ担当閣僚としてイニシアチブを発揮することでもう少し詰められる面があるのではないかというような点、かなりきのうは議論を整理しました。私も関税政策や税関行政を担当する立場で、この問題では共同議長になっておりますので、今委員から御意見がありますように、全力を挙げてこれを加速させるように努めたいと思っております。

○木原(稔)委員
 ありがとうございました。国際的な経済連携にとらわれず、最終的には東アジア共同体構想というものも念頭に置いて、アジアのリーダーにふさわしい包括的なEPA、これをスピード感を持って実現していくことを要請したいというふうに思います。
 続きまして、WTO関係に関連した質問をさせていただきたいというふうに思います。二〇〇一年十一月に立ち上げられたWTOの新ラウンド、いわゆるドーハ・ラウンドについて、現在、世界諸国間において交渉が進められているというところでございます。昨年十二月、香港の閣僚会議においても、これは残念ながら各国の意見がまとまらず、モダリティーの確立、これが延期となってしまいました。将来に向けて確固たる多角的貿易体制を実現するべく、この新ラウンドを成功に導く必要があるというふうに私は考えておりますが、このWTO新ラウンドの成功に向けて我が国が果たす役割または取り組み姿勢について、大臣にいま一度その所信をお伺いしたいというふうに思います。

○谷垣国務大臣
 ドーハ・ラウンドは、多角的貿易体制を維持強化していくという上で極めて大事でございまして、これは結局、世界経済の成長を確実なもの、持続的なものにしていくという意味で、私は基本的に大事なものだろうと思っているわけです。
 今、木原委員がおっしゃいましたように、昨年の暮れの香港閣僚会議は、なかなか難しい議論がたくさんございまして、いろいろな議論があったわけですが、ことしじゅうに交渉を終結させるために必要な道筋を示した閣僚宣言が採択されたということですね。それで、その機会に我が国としては、後発の開発途上国、いわゆるLDC向けの無税無枠の拡充というようなことを含む途上国支援のための包括的な開発イニシアチブを発表して、少しでも交渉進展に役立てようということをやったわけです。現在、四月末までのいわゆるフルモダリティー、具体的な関税引き下げ方式等の各国共通ルール、これを合意しようと。それから、七月末までの譲許表の提出というような交渉スケジュールがございますが、これに従って議論が行われている。今週末にもロンドンで非公式の閣僚会合があるわけですが、我が国からも経産大臣、農水大臣とかがお出になるんだろうと思っておりますが、そういうことで、力を入れていかなければいかぬと思っております。財務省としても、関係省庁と連携しながら、ドーハ・ラウンド交渉をうまく軌道に乗せるように努力をしたいと思っております。

○木原(稔)委員
 ありがとうございました。世界の中の、本当に責任のある先進国の一員としての立場からも、やはりこのラウンドの成功、これはもう積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。そしてまた、モダリティー、関税引き下げ方式等の各国共通ルールの確立、これの早期実現に向けて、ぜひとも谷垣大臣には引き続き努力をしていただきたいというふうに思っております。では、以上をもちまして質問を終了いたします。どうもありがとうございました。

○小野委員長
 以上で木原君の質疑を終えます。