木原稔
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政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会(平成十八年五月三十一日)
委員会 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
実施日 平成十八年五月三十一日
質問事項 「公職選挙法の一部を改正する法律案」(次期参議院選挙における四増四減案)について
答弁

○鈴木委員長
 これより会議を開きます。
 参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。発議者より趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員阿部正俊君。

○阿部参議院議員
 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。参議院選挙区選出議員の定数につきましては、平成六年及び平成十二年にいわゆる逆転現象の解消を図る等の改正が行われましたが、その後においても選挙区間の不均衡が拡大する傾向が見られ、平成十七年国勢調査の速報値によれば、選挙区間における議員一人当たり人口の格差は最大で一対五・一八となっております。 また、参議院選挙区選出議員の定数配分規定に関する平成十六年一月十四日の最高裁判所判決におきましては、平成十三年の通常選挙当時における定数配分規定は合憲とされたものの、多数意見を構成した一部の裁判官から、補足意見として、仮に次回選挙においてもなお無為のうちに漫然と現在の状況が維持されたままであったならば違憲判断の余地は十分に存在するとの指摘がなされております。参議院といたしましては、これらのことを真摯に受けとめ、定数格差の是正に取り組むべく、平成十六年七月の通常選挙前には各会派代表者懇談会のもとに参議院議員選挙の定数較差問題に関する協議会を設置して、また、当該通常選挙後には参議院改革協議会において選挙制度に関する専門委員会を設けるなどして、選挙区選出議員の定数格差問題について検討を重ねてまいりました。専門委員会の報告書では、複数の是正案が併記された上で、この法律案と同内容のいわゆる四増四減案が有力な意見であるとされたところではありますが、これを受けた参議院改革協議会では、平成十九年の次期通常選挙に向けて定数格差の是正を行うことではおおむね一致したものの、成案を得るには至りませんでした。以上のような状況を受け、与党といたしまして、参議院については二院制採用の趣旨から全国単位と都道府県単位の選挙制度がとられてきたこと、参議院が民意を安定的に国会に反映させる機能を担っていることなどを踏まえ、現行選挙制度の基本的な枠組みを維持することを前提に、これまでの改正との整合性、参議院を取り巻く社会的、政治的諸情勢の変化への対応の必要等も考慮に入れつつ、平成十九年の次期通常選挙に向け、当面の是正策として、この法律案を取りまとめ、提出した次第であります。以下、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。参議院選挙区選出議員の各選挙区の定数の配分につきまして、東京都選挙区の議員定数を八人から十人に、千葉県選挙区の議員定数を四人から六人に、それぞれ増員する一方、栃木県選挙区及び群馬県選挙区の議員定数を四人から二人に、それぞれ減員することといたしております。これにより、選挙区選出議員の選挙区間における議員一人当たりの人口の格差は、平成十七年国勢調査の速報値において最大で一対四・八四に縮小することになります。なお、この法律は、公布の日から施行し、この法律の施行日以後その期日を公示される参議院議員の通常選挙並びにこれに係る再選挙及び補欠選挙について適用することといたしております。
 以上が、この法律案の提案の趣旨及び内容でございます。何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

○鈴木委員長
 これにて趣旨の説明は終わりました。
 この際、お諮りいたします。本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長久保信保君及び農林水産省大臣官房政策評価審議官本川一善君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長
 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原稔君。

○木原(稔)委員
 自民党の木原稔でございます。
 今回の是正案におきましては、これまで改革案をつくっていただいた改革協議会の専門委員の方々、定数較差問題協議会の皆様方が真剣に議論をされて、そして参議院の審査を経て今日に至ることに、まずもって敬意をあらわしたいと思います。その上で、幾つかお尋ねを申し上げたいと思います。
 平成十六年一月十四日の最高裁判決では、平成十三年の通常選挙当時の定数配分規定はあくまでも合憲であったわけでございます。確かに、合憲とした九人の多数意見の中でも、四人が補足意見として、次回選挙でも漫然と現状が維持されたならば違憲判断がなされる余地は十分にあるということでございますが、そもそも裁判官の補足意見が判決に及ぼす影響、効果というものをどのようにお考えなのか、総務省の見解をまずお願いいたします。

○久保政府参考人
 ただいま御指摘にございましたように、平成十六年一月十四日の最高裁判所の判決は、平成十三年七月二十九日に施行されました参議院議員通常選挙に関しまして二点、非拘束名簿式比例代表制の合憲性と定数配分規定の合憲性について争われまして、いずれも合憲という判決を下していると承知しております。ただ、これも御指摘にございましたように、定数配分規定そのものは合憲であるという判断が下されましたものの、十五名の裁判官のうち六名の反対意見がございまして、また、合憲であるという判断を行いました九名の裁判官のうち四名の裁判官から、次期選挙においてもなお無為のうちに漫然と現在の状況が維持されたままであったとしたならば違憲判断がなされるべき余地は十分に存在するといった補足意見があったものと承知しております。私どもといたしましては、ただいまこの場で四増四減案の定数是正案が御審議をされているところでございますので、その審議の結果を見守りたいというふうに考えております。

○木原(稔)委員
 補足意見とはいえ、最高裁の言ったことを今回に限っては尊重したととらえました。参議院は衆議院とともに国権の最高機関たる国会を構成しており、憲法上も国会議員は全国民を代表する議員であるということはもう当然のことでございます。その上で、投票における一票の平等原則というものは守られるべきだというふうに考えますけれども、参議院の場合にはやはり衆議院と若干違い、選挙制度の特殊性というものを考慮するべきだと考えますが、その点も踏まえて、今回の四増四減による定数是正で格差縮減を行えば最高裁から違憲の判断を受けることはないのかどうか。どの程度の格差があれば、つまり何倍の格差が発生すれば違憲判断を受ける可能性があるという認識なのかを、これもまた総務省にお尋ねしたいと思います。

○久保政府参考人
 参議院の定数訴訟につきましては、平成四年通常選挙について争われました最高裁判決、これは平成八年の九月十一日になされております。このときは人口格差で六・四八倍、有権者の格差では六・五九倍でございましたけれども、この状態が違憲状態になっているというふうに認定をされましたために、一般的には六倍を超えると違憲状態になるのではないかという受けとめがなされてきたといった経緯があるのではないかと考えております。 先ほども御答弁いたしましたように、平成十六年一月十四日の最高裁判決、これは平成十三年の通常選挙でございましたけれども、その際の人口格差が四・七九倍、有権者格差が五・〇六倍という状態のものについての判断でございましたけれども、先ほど申し上げましたように補足意見等で厳しい姿勢が示されるということになっておりまして、ただいまその判決を受けて四増四減案が御審議されているというふうに理解をしております。

○木原(稔)委員
 今回の是正によりまして五・一八倍の最大格差が四・八四倍にまで縮小するということでございましたが、この五倍という数字をまたいで若干の是正を行いながら、参議院選挙の特殊性というものも維持しつつ、議論を重ねた結果、最終的にこの是正案に落ちついたのではないかなというふうに私は理解をしております。
 さて、提案者に御質問をいたしますが、今回提出されるに至るまでの過程において、その背景と、改正案策定時における一番の問題点、検討課題はどういうことであったのかということを御教示いただければと思います。

○阿部参議院議員
 検討の過程におきましてさまざまな意見が出されましたが、ともかく最高裁の、先ほど述べましたような経過をたどっての意見がありますので、やはり少なくとも十九年選挙までに定数是正を行わなきゃいかぬということを当面の一番の課題にいたしまして検討が行われてきたわけでございます。
 この点につきましてはいろいろな場面でも各党とも一致しておりまして、とにかくそれに間に合わせろというようなことで検討が行われて、これにつきましては一致していますが、具体案になりますと、正直なところ、なかなか成案が得られなかったということでございます。ただ、同時に、いろいろな案が検討されましたが、御指摘にございましたように、参議院の特性といいましょうか、またそれに伴った選挙制度の経過や歴史的な経緯、あるいは本来の参議院のありようということを絡めた特性だと思いますけれども、全国単位の比例選挙とともに都道府県の住民の意思を集約させるために都道府県単位の選挙区選挙がされているというふうな事情、これがやはり本院の、参議院の選挙区制度の大きな特色ではないかと思います。これについてはやはり維持すべきではないのかなというふうな考え方が根強くございまして、いろいろな案が検討されましたけれども、参議院としていろいろな意味での制約があるという中で、かといって最高裁が言っているように立法府として漫然と何もしないで時を過ごすというようなことは許されないよ、平たく言えば、そういういうことでございますので、十九年選挙で少しでも一歩前進といいましょうか、ということで改正案をまとめようということで、今回の四増四減案というのが選挙制度の大枠をいじらない中でとり得る当面の政策ではなかろうかなということで今回の案にしたわけでございます。
 少しでも格差是正という意味では五・一八倍から四・八四倍ということで五を切るというような案になって、十九年選挙に間に合わせるようにしたいということで、今国会での成立をお願いしていこうということで提案してまいったわけでございます。御理解願いたいと思います。

○木原(稔)委員
 昨今では都会と地方の格差が問題になっているという現状があります。今回の案は、たまたまかもしれませんが、同じ関東圏の中で増減が行われるというわけであります。したがいまして、幸いに首都圏と地方圏との格差拡大に直結はしないというような状況になるかと思います。まだまだ人口がふえている地方区が減員区となって首都圏の勢力が拡大していくということは、地域バランスの観点からいっても望ましいことではないというふうに思います。地方で四人が二人になるということになれば、これは五〇%減ということにもなるわけでございます。
 今後、定数是正の問題が発生した場合には、参議院の特殊性を考慮しつつ、例えば同じ商業圏とか経済圏または地域ブロック単位で調整をして、そして是正をしていくという考えも十分あり得るのではないかなと思います。
 最後に、趣旨説明の中に当面の是正策という文言がありましたが、法案が仮に成立した場合に、その後、参議院選挙制度の抜本的な改革を行うべきなのかどうか。行うとすれば、その決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。

○阿部参議院議員
 満足な答弁にならないかもしれませんけれども、私どもも、今回の是正案は当面の、十九年選挙といいましょうか、最小限十九年選挙に向けての当面の是正案というふうに考えております。御指摘のとおり、果たして参議院の公平な選挙制度とはどんなものなのか。二院制ですので衆議院とはまた違うかもしれませんけれども、都道府県間の格差というようなこととか、あるいは別な意味でのいわば人口比としての格差、相矛盾する概念かもしれませんけれども、あるわけでございますので、その辺の調整をどうしていくのかというのは、大きくいえば参議院のありよう、機能というのはどうなのかというところまで及ばないと、なかなかやはり結論が出ない面が少なくないんじゃないかなと予想されます。具体的な形としては、この法案の成立と同時に、参議院改革協議会という議長の諮問機関がございますけれども、公式な諮問機関でございます、そこで、やはりこれだけでは済むものではないということで、参議院改革協の中に、いわば表裏一体の形で、例えば選挙制度検討委員会というようなものを組織して、そこには外部の有識者等々の意見も幅広く取り込み、オープンな形で論議をして成案を得ていくというふうな姿勢を表明しておりまして、法案成立後できるだけ早くそういう会議の場が設定されるのではないかというふうに期待しておりますし、提案者としてはそれを強く望みたいと思っております。 以上でございます。

○木原(稔)委員
 終わります。ありがとうございました。