木原稔
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財務金融委員会(平成十九年十一月二十一日)
委員会 財務金融委員会
実施日 平成十九年十一月二十一日
質問事項 地域金融について
株式投資の税制優遇措置について
サブプライムローン問題について
事業承継税制について
答弁

○原田委員長
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原稔君。

○木原(稔)委員
 おはようございます。自由民主党の木原稔でございます。本日は、財政及び金融に関する件に対しまして質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。主に金融に関する質問をさせていただきたいと思っております。
 まずは、金融仲介機能の充実について、特に地方金融、地域金融に関しましての質問をさせていただきます。先日、十一月十三日に公表された、ことしの第三・四半期ですか、七月―九月期に公表されたGDPの一時速報値は、前期比二・六%、年率でございました。その前の第二・四半期、四月―六月期はマイナス一・二%でしたので若干心配しておりましたけれども、第三・四半期は結果的にプラスに転じております。不良債権の減少が明確になりました平成十六年度以降は、日本経済は、二%程度の通常の成長は辛うじてですが維持してきているというふうに感じております。イザナギ景気を超えて景気拡大が続いていると一般的には言われているゆえんではないかというふうに思います。確かに日本経済、全体は景気回復が続いているというふうに言われておりますが、地域によっては相当のばらつきが見られるというのは、これはもう一般的な見解であります。大企業に関しましては、史上最高の、または史上空前の収益を計上する、そういう会社がある一方で、中小零細企業は、引き続いて厳しい状況にあるわけでございます。
 金融庁においては、従来から中小零細企業を主な取引先とする地域金融機関の金融仲介機能の充実のために、地域密着型金融の推進といった取り組みを進めてきておりますけれども、このような地域による大きなばらつきがもう長期間において明確になってきた今の段階において、今後はどのような点を重点的に取り組んでいこうとされているのか、大臣の考えをお聞かせください。

○渡辺国務大臣
 木原委員御指摘のように、地域経済において相当のばらつきが見られる背景には、やはり需要と供給のミスマッチがまだ解消していない地域がたくさんあるということに大きな原因があるような気がいたします。世界経済とつながっている地域においては、言ってみれば、需要超過的経済が行われている一方、全くドメスティックな経済でやっている地域においては、相当の供給過剰構造が解消されていない現実があるのではないでしょうか。そうした現実も踏まえながら、リレーションシップバンキングの取り組みは行ってきているところでございます。二回にわたるアクションプログラム、平成十五年から十八年に沿ってその取り組みは行われてきております。その進捗状況については、総じて着実に実績が上がっているものと考えております。ただ、利用者の皆さんから見ますと、やはりこうした供給過剰構造のもとで、事業再生あるいは担保保証に過度に依存しない融資の推進、地域貢献といった点については取り組みが不十分ではないかという御指摘をいただいているのも事実でございます。そうしたことを踏まえ、今後どういう点に重きを置いてやっていくかということでございます。まず第一には、事業再生を含めライフサイクルに応じた取引先企業の支援を一層強化をしていくということが大事でございます。二番目には、事業価値を見きわめる融資手法を初め中小企業に適した資金供給方法を徹底していくということであります。第三点目は、地域の情報集積を活用した持続可能な地域経済への貢献を重視していくという点でございます。金融機関の自主的な取り組みを促したいと思いますし、また、金融庁としても、それらの取り組みについてフォローアップをしてまいりたいと考えております。

○木原(稔)委員
 まさしく需要と供給のミスマッチという言葉が大臣からも出されましたけれども、そのとおりだと思います。しかも、今の日本全体の景気回復も、これは、三分の二程度は私は外需によるものだというふうに分析をしております。かつ、デフレが一向に克服ができておりません。この極めて不安定な景気拡大状態を脱しないといけないと思いますし、そして、地域によるばらつき、これも抑制していくための施策が、今大臣から各種おっしゃっていただきましたけれども、さらにその施策の徹底と強化を私は切に期待しているところでございます。
 続きまして、証券税制について質問させていただきます。今の日本がこのまま少子高齢化が進んでいって、年金生活者を初めとする国民が今のような状態、比較的豊かで潤いのある、そういう生活を今後も続けていくためには、これから個人投資家というものをもっとふやして、株式市場への参加を積極的に促すことでさらに国民資産を有効的に活用してもらい、また、海外の投資家からも、今の日本の市場というものを積極的に選んでいただけるような道筋をしっかりとつくっていただかないといけない、そのように思っております。そのためには、株式投資に対しまして税制優遇措置を講ずること、これはもう必要不可欠ではないかというふうに私は思っております。大臣もまた、証券税制の恒久的な優遇というものに対して強い意欲を持っていらっしゃるというふうに私も伺っておりますが、これからの税制改正の議論が本格的に始まる前に、渡辺大臣の決意というものをお聞かせください。

○渡辺国務大臣
 今、世界じゅうで金融資本市場が大変不安定な状況にあることは御案内のとおりでございます。 日本の株式市場においても、外人さんの存在が非常に高くなっておりまして、外人さんが売ると株価が下がるという状況があるわけですね。したがって、アメリカの市場が大幅に値下がりいたしますと、その余波を東京市場でもろに受けてしまうということがあるわけでございます。一方、考えてみますと、日本には、汗水垂らしてせっせと稼いだ富、個人金融資産が一千五百五十兆円ございます。こういうお金をどう動かしていくか、まさに、我々は、貯蓄から投資へという流れを確実にしていく必要があるわけでございます。やはり、豊かさを実感できるためには、例えば百万円銀行に預けておいて一年間に二千円しか戻ってこない、しかし、リスクをとって、例えば投資信託をお買いになられますと、百万円で四万円戻ってくるのもございますし、中には八万円戻ってくるのもあるんですね。今、長期金利が一・五%を割ってしまっております。東証一部の配当利回りは、この長期金利の利回りを超えている水準、一・五%を超える水準にまでなっているんですね。PERでいきますと十六倍ぐらい、PBRが一・七倍ぐらいでございますから、非常にこれは割安の水準になっていると言ってもおかしくはない状況であります。しかし、それでもなお、余り個人のお金が安定的に市場に入ってこない状況を見ますと、個人のリスクマネーをやはりある程度軽減税率できちんと処遇する、そういう体制の恒久化が必要ではなかろうかと思うのでございます。やはり、日本の国際競争力をつけるためにも、個人のリスクマネーは欠くべからざるお金であります。どこの国でも預貯金の利子の税制とリスクマネーの税制には差をつけているのが普通なのでありまして、ぜひ、キャピタルゲインや配当の軽減税率は維持をしていきたいと考えているところでございます。

○木原(稔)委員
 ありがとうございました。海外金融に対する不安というのが冒頭に出てまいりましたけれども、専ら最近の話題といいますか、アメリカのサブプライムローン問題というのがいまだに日本の中でもくすぶっておるわけでございますが、世界的な規模では、この問題を契機として、クレジット市場さらには為替市場や株式市場にも波及するなど、その影響がどんどん拡大傾向にあるというふうに認識をしております。欧米の金融機関がもう既に多額の損失を計上しているという事実、これは深刻に受けとめないといけないというふうに感じます。前回の当委員会での質問の答弁にもいただきましたように、日本の金融機関は健全性を増している、サブプライムローン問題について、日本の金融システムに深刻な影響を与える状況にはないというようなお話でございましたけれども、しかしながら、このサブプライムの直接的な影響を受けていないはずの日本が、世界的には最も大幅な株価下落を経験しているという事実がございます。実際に、時限爆弾があるというふうにも言われておりますが、これが爆発した場合の危機管理というのをやはり考えていかなければいけないのではないかと思います。改めて、渡辺大臣、このサブプライムローンが与える我が国金融システムへの影響と、そうなった場合の政府の対応というものについてお答えいただきたいと思います。

○渡辺国務大臣
 このサブプライムローン問題から発生をした一連の金融資本市場の疑心暗鬼というものを考えてみますと、ちょっと例えはよくないかもしれませんが、牛肉一〇〇%のミートコロッケ、ハンバーグだったものが、どうも豚の心臓とかが混入している偽装牛肉がまじったものが売られていたのではないか、こういうことから、買い控えとか売れなくなってしまった、そういう問題があるんだろうと思います。したがって、そういう疑心暗鬼をどうやって解いていくかということは極めて大事なことではないでしょうか。欧米の一部の金融機関、巨大複合金融機関とイングランド銀行が認定をしたようなところにおいても、多額の損失が発生をしているという開示が行われております。日本の金融システムにどういう影響があるかという点については現段階において断定的に申し上げることは控えさせていただきますが、御案内のように、日本の金融は、この十数年来大変な危機に見舞われてまいりました。そうした危機を克服してきた実績がございます。十年前のちょうど今ごろでございますが、コール市場でデフォルトが発生をし、山一証券や拓銀が破綻をし、我々は、銀行の資本が傷んでいる、この資本を強化すべきである、こういう政策を矢継ぎ早に打ってきたわけでございます。現在、日本の金融機関においては、特にメガバンクにおきましては、不良債権比率が大変低下をしてきております。全体として金融システムの健全性は高まってきているということが言えます。また、けがの功名とでもいうんでしょうか、日本の金融機関のサブプライム関連商品に直接関連するリスクは、全体として見れば、相対的に限定をされているという現状がございます。こうしたことから、現時点において、日本の金融システムに深刻な影響を与えるという状況にはなっていないと承知をいたしております。金融庁としては、サブプライムローン問題以外にも、各種の仕組み商品などについて金融機関が適切にリスク管理をするということが大事であると考えております。こうした観点から、日常的に、各種金融機関とはヒアリングあるいは情報交換を進めているところであります。やはり、疑心暗鬼を招かないということのためにはきちんと情報開示を適時適切に行っていただくということが大事でございますし、日本のBSE騒動や偽装牛肉騒動から得られる教訓というのは、一種のトレーサビリティーというものがきちんと確立をしておれば、こうした疑心暗鬼は招かないということが言えるのではないでしょうか。

○木原(稔)委員
 米国景気への先行き不安ですね、大臣の言葉をかりて言うと、それが疑心暗鬼だというふうなことでございますが、それが疑心暗鬼だとしても、それが引き金となって、米株安、そして米ドル売りによって、それが原因で日本株の下落など連鎖反応が続いていくケースもこれはあり得ると思いますので、そういった場合になったときの対処方法ということも考えて備えていかなければいけないのではないかなと思っております。
 続きまして、次の質問に入らせていただきます。貸金業改革のその後について、一点だけお伺いいたします。昨年の十二月、改正貸金業法が成立したところでございます。私も尽力をさせていただきましたけれども、これに盛り込まれた総量規制とか、または上限金利の引き下げといった措置によって、新たな多重債務者の発生というものはかなり防止することができております。これはもう実際に数字としてあらわれてきているところでございます。しかしながら、その一方で、法改正の以前にもう既に多重債務を抱えていて苦しんでいる人、これも多く存在していたところであって、人によってはその後訴訟を通じて過払い請求など対応できている場合もありますけれども、そうではなくて、だれにも相談できずに引き続き苦しんでいる方、こういう方もいまだ多く存在しているわけであります。改正貸金業法の施行という一つの車、これと両輪をなす取り組みとして、本年四月に多重債務改善プログラムというものが策定されたわけでありますけれども、そのプログラムの策定後、相談窓口の整備強化というものが行われたはずでございますが、具体的にどのような取り組みが行われて、そして効果が出ているのかというのを教えていただきたいと思います。

○渡辺国務大臣
 昨年、貸金業法の全面改正の作業を行っておりましたときに、私も木原委員も自民党の金融調査会において積極的に議論をした仲間でございます。その当時、木原委員が大変積極的にこの多重債務者問題の解決に向けた御提言をしておられたことを、私も今でも大変感激を持って思い出すのであります。そうした努力がこの委員会において実りまして、貸金業法改正が行われ、政府においては多重債務者の改善プログラムが策定をされたところでございます。多重債務者がだれにも相談できないまま生活に行き詰まるおそれがある中で、一番身近な相談窓口であるのはやはり自治体でございます。自治体の窓口が、現在、千八百三十の市町村のうち三百八十六市町村において相談窓口が整備をされています。恐らく、こうした市町村は今後ふえていくことを期待しているところでございます。多重債務問題改善プログラム、自治体職員向けに相談時の心構えや相談手順をわかりやすく解説したマニュアルを策定しております。すべての自治体にこれを配付し、自治体の支援を要請しているところでございます。さらに、多重債務者対策本部としては、本年十二月十日から十六日の間、全国一斉多重債務者相談ウイークとすることを決定いたしました。この期間中、都道府県及び管内の弁護士会、司法書士会が共同で無料相談会を実施していただく予定になっております。改正貸金業法の完全施行時には、どこの市町村に行っても適切な対応が行われるよう、引き続き政府としてもできる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。

○木原(稔)委員
 いまだにだれにも相談できずに思い悩み、苦しみ、借金苦、経済苦によって自殺を考えているような方、年間に一万人もいると言われるそういう自殺者、多くは今後救われると思いますが、それでもなおそこにひっかからない方々に対しまして広く告知する方法、自治体を通じて一生懸命今取り組んでおられるということでございますけれども、引き続きさらなる強化、支援というものをお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 では、最後に、額賀財務大臣、きょうお越しでいらっしゃいますので、一点だけ、事業承継税制について質問をさせていただきます。中小企業の事業承継税制については、もう既に自民党内において長く議論がされてきたところであります。中小企業の経営者の高齢化がどんどん進んでいく中で、事業の将来に対する不安や後継者の不足など、これは都会とか地方とかではなくて、全国的な問題として深刻度を増している状態であります。これに関しまして、相続税負担についても、経済活力の観点から一層の配慮が必要であるというふうに考えております。諸外国では、近年、事業承継税制を抜本的に強化してきております。少なくとも、土地と株式に対して一律に相続税負担を軽減しております。他方、我が国では、事業用宅地に対する相続税が八〇%減額されているのに対して、非上場株式についてはわずか一〇%の減額にとどまっております。諸外国と同様に、事業用宅地に対する八〇%減額制度を前提に、非上場株式に対して少なくとも八〇%の減額制度を導入するというような方法もあるのではないかと感じております。また、現行の非上場株式に対する一〇%の減額措置は、対象となる会社の発行済み株式総額が二十億円未満である、そういったさまざまな条件、ハードルがつけられています。このようなさまざまな適用条件がつけられると、結果として使いにくい制度となってしまう。絵にかいたもちというようなことにもなりかねません。事業承継税制の抜本拡充に当たっては、中小企業の経営者にとって真に使い勝手がよいものとしなければいけない、そのことが不可欠であると思います。このような問題提起、今のようなお話を踏まえていただきまして、事業承継税制の全般に関する額賀大臣の所感というものをお伺いいたします。

○額賀国務大臣
 今、木原委員が御指摘になったことは、実際問題として、昨日、政府税調におきましても、経済活力の維持のために真に効果的な事業承継税制制度を確立していかなければならない、そういうことが提言されております。実態的にも、今の現在の状況は、廃業が多くて、起業よりも廃業が多いという中小企業の実態でありますし、それから、後継者がなかなか育たない、そういうことを考えますと、地方経済、地域経済の活力を維持するということ、それから雇用を安定化させるということ、そういう意味においても、事業承継税制については改善を図っていかなければならないという木原委員の御指摘は私どもも重く受けとめて、対応していかなければならないというふうに思っております。与党の中でもいろいろと御議論をいただいているというふうに聞いておりますので、これから党の税制調査会あるいはまた政府・与党の協議会においてよく議論をしながら、しっかりと対応していきたいというふうに思っております。

○木原(稔)委員
 確かに、事業用資産を持つ者と持たない者との課税の公平性であるとか、また、親族間の相続による事業承継を支援するということの必要性の観点から、これは十分な議論が必要であるというふうに考えます。課税の公平性の観点からも、だれが見てもそういう納得できる、許容ができる、かつ、経済活力の維持のために真に効果的な制度というものを前向きに今後とも検討していただくということをお願いいたしまして、私の質問は終了いたします。ありがとうございました。