木原稔
メニュー
財務金融委員会(平成二十年四月八日)
委員会 財務金融委員会
実施日 平成二十年四月八日
答弁

○原田委員長
 これより会議を開きます。内閣提出、電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣額賀福志郎君。

○額賀国務大臣
 ただいま議題となりました電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。本法律案は、我が国の国際競争力強化及び利用者利便の向上に資するため、電算システムによる輸出入等関連業務を一体的に処理できるように措置するとともに、これを運営する独立行政法人通関情報処理センターを特殊会社として民営化する等の所要の改正を行うものであります。以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、税関手続及びこれに関連する民間業務を処理する通関情報処理システムについて、新たに港湾手続、食品衛生手続、動植物検疫手続、入国管理手続等の関連する他の省庁の手続に関する業務を電算システムで一体的に処理することができるようにすることとしております。
 第二に、独立行政法人通関情報処理センターを解散して、新たに特殊会社として輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社を設立し、企業経営による業務運営のさらなる効率化を図ることとしております。
 なお、輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社につきましては、中立、公平かつ安定的な業務運営を確保する観点から、国による一定の関与を確保するため、政府による過半数の株式保有、主務大臣による監督、検査等に関する規定の整備を行うこととしております。その他、所要の経過措置等について定めてあります。以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。以上です。

○原田委員長
 これにて趣旨の説明は終わりました。

○原田委員長
 この際、お諮りいたします。本案審査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長香川俊介君、主税局長加藤治彦君、関税局長青山幸恭君、理財局長勝栄二郎君、国土交通省大臣官房審議官武藤浩君、大臣官房技術参事官林田博君、道路局次長原田保夫君、自動車交通局技術安全部長松本和良君、海上保安庁交通部長米岡修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○原田委員長
 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

○原田委員長
 これより質疑に入ります。質疑の申し出がございますので、順次これを許します。木原稔君。

○木原(稔)委員
 自由民主党の木原稔でございます。本日は、いわゆるNACCS法の質疑の時間を与えていただきましてありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。
 昭和四十五年にボーイングのジャンボジェット機が日本で導入をされて、いわゆる国際物流革命というものが起こりました。大量輸送時代の到来でもございます。税関手続のための電算システムが導入されたのは、それから八年後の昭和五十三年であります。
 他国のシステムを見てみると港湾ごとのシステムにとどまる中で、我が国の港湾または空港においては、全国の港湾、空港に積極的に展開をしてきました。その結果、日本は、太平洋上の島国という極めて地理的に不利な状況、環境にありながら、世界に類を見ない勢いで経済成長を果たすことができたわけでございます。そういった意味で、NACCSは、高度経済成長を支え、国際物流の円滑化に少なからず寄与してきたものというふうに私は思っております。これまでのNACCSの経緯と現状、そしてこれまでNACCSが行ってきた国際物流の円滑化のための取り組み状況について、まずはお伺いをいたします。

○遠藤副大臣
 お答えいたします。既に先生大変よく御存じのことと思いますけれども、簡単に説明させていただきます。通関情報処理システム、略称NACCSでございますけれども、これは、税関手続及びこれに密接に関連する民間業務、例えば貨物の在庫管理等を、電算システムを通じて国際物流の流れの中で一体として処理する官民共同のシステムでございます。現在、全申告件数の約九八%に当たります三千二百万件がNACCSにより処理されておりまして、NACCSを利用することによりまして、港湾及び輸出入手続の迅速かつ効率的な物流処理が可能となっているところでございます。しかしながら、NACCSにつきましては、利用料金が高いとか使い勝手が悪いといった御批判もありまして、これまで改善に向けた取り組みをるる進めてきたところでございます。さらに、平成二十年十月には、申請画面や入力事項の統一化などの機能を向上させた、いわゆる次世代シングルウインドーを稼働する予定でございます。これに加えまして、本法案において、NACCSと国土交通省所管の港湾関係手続システムの統合や関係省庁の輸出入等関連情報処理システムの一体的運営を行うとともに、通関情報センターを特殊会社化することによりまして、利用者の利便性向上、コスト削減を図ることとしております。以上です。

○木原(稔)委員
 今副大臣がおっしゃったとおり、当初は料金が高いとかまたは使い勝手が悪いという批判があったということでございますけれども、行政の強い指導によって大幅な料金の引き下げも行いましたし、利用者の意見を十分に反映させたシステムにするべく、これは随時そういった改正が行われてきたわけであります。また、関係省庁との連携という意味でも、その都度そういった連携を強めるような政策がとられて、今では利便性の向上にも十分努め、現在年間三千二百万件あるそういった輸出入の手続の九八%がNACCSによって処理されているということでございます。
 国が指導を行うという一定の役割はもう終えたというふうにも考えられますが、今回の法案によって、我が国の輸出入等の手続を処理するシステムは、国が過半数の議決権を持った民間会社により運営をされるということになるわけであります。諸外国においては輸出入の手続を行うための電算システムというのはどのような形態、または法人により運営されているのかということをお尋ねいたします。

○青山政府参考人
 お答え申し上げます。諸外国でございますが、韓国、台湾、香港、シンガポールといったような成長著しい港を有しておりますアジア各国におきましては、官民出資の民間会社が通関のネットワークを構築いたしまして政府のシステムと連携した運営を行っておるわけでございます。アメリカなりあるいはイギリス、ドイツといった欧米の国々におきましては、政府が官システムを単独で構築してみずから運用している例が多うございます。例えば、韓国でございますと、これは実はNACCSシステムをまねたというようなことを伺っておりますが、KTネット、KLネットというのがございます。これは一九九四年にでき上がっております。台湾におきましてはトレードバンというのがございまして、一九九二年でございます。香港はトレードリンク、これは一九九七年でございます。シンガポールはトレードネットというのがございますが、これは一九八九年ということでございまして、日本が一番早かったわけでございます。アメリカ、イギリス、ドイツ等は、それぞれ歴史がございますが、国は国、あとは民間は民間だけという形になっておるわけでございます。以上でございます。

○木原(稔)委員
 欧米ではまだ国が単独で運営しているところが多い、ところが力をつけてきたアジアの主要港ではもう株式会社化、民営化が進んでいるところが多いということでございました。
 アジア諸国の主要港と比較をして相対的に日本の港湾の地位が今大幅に低下をしているということは数字で出てきております。そういった状況、背景をもとにすると、今回の法案というものは、港湾物流における我が国の国際競争力の強化並びにその利用者の利便性向上に資するという意味で関係省庁システムの一体的運営、さらに民間の知恵とそして効率性を導入するという意味でいうと、独立行政法人であるNACCSセンター、これの民営化ということを行うことは、私は理にかなっているのではないかなというふうに思っております。
 そこで、今申し上げましたそういった関係省庁システムの一体的運営、NACCSセンターの民営化につきまして、今、その概要、メリットもしくはデメリットというものがあればどのように考えているかというのを、副大臣、教えてください。

○遠藤副大臣
 お答えいたします。この法律案におきましては、我が国の国際競争力の強化並びに利用者利便の向上に資するということが目的でございますが、そのために、通関情報処理システムと、港湾手続、食品衛生手続、動植物検疫手続、入国管理手続等、他省庁の手続に関する業務を電算システムで一体的に処理できるように措置をしております。また、NACCSセンターを解散いたしまして、新たに新会社であります輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社を設立いたしまして、企業経営による業務運営のさらなる効率化を図ることといたしております。なお、新会社につきましては、中立、公平かつ安定的な業務運営を確保する観点から国による一定の関与を確保する必要がありまして、政府による過半数の株式保有、主務大臣による監督、検査等の規定の整備を行うこととしております。メリットにつきましては、まず、データベース機能など、システムで重複する機能の統合によるコスト削減ということがあるかと思います。さらに、輸出入等関連手続の一層の迅速化、そして情報セキュリティーの向上、情報共有の円滑化、迅速化、さらには企業経営による業務運営のさらなる効率化とか、アジアを初めとする諸外国の通関ネットワークシステムとの連携など新規業務展開による民間利用者の利便性向上といった効果が期待されるものと考えております。

○木原(稔)委員
 NACCSセンターは、今後関係省庁システムの一体的運営を図る必要があるという意味、その一点だけをとってみると、国の機関であるべきだというような意見も当然あるというふうに思います。しかしながら私は、NACCSセンターというものは、決して公権力を行使するわけでもなく、民間の知恵を十分に生かせる部分が多い、そういう分野がたくさんあるということで、民間にできることは民間にというような趣旨からいうと、これはむしろ民間になる、民営化するということで典型的に優良企業になり得る存在ではないかな、そのように感じております。
 しかしながら、新会社は民営化のよい面を生かしていく必要がある一方、先ほど副大臣も言われたとおり、輸出入等に関するそういった重要な公共サービスを提供するという観点から、国としても一定の関与を残していくべきであるというふうに考えておりますが、その見解をお聞きします。
 また、人員の構成でありますけれども、現在NACCSセンターは職員が百十五名というふうに聞いております。そのうち、中身を見てみますと、出向者が百名、最近採用を始めたプロパーの職員がまだ十五名、そういう構成でございます。出向者の中身を見てみますと、税関の職員であるとか、また航空会社、船会社からの出向、または貨物会社などから出向してきている。官民からまさしく出向者によって運営をされているという今の現状であります。既に民間会社から多くの出向者によって構成されている、つまり民間の出向職員によって大きな力をかりているという側面からしても、民営化になったとしても弊害は恐らくなさそうに感じます。
 本法案における民営化によって、今度は出向社員に依存することなく、なるべくプロパー職員を主体としてそういった組織にすべきだというふうに感じております。さらに、NACCSの利用者である税関、航空会社、船会社、貨物会社等と対等な出向関係、相互交流というものを図る、そういった人事制度にすることによってなお一層の利便性向上に寄与するというふうに、これは私が感じておるところでございますけれども、そういったところについても見解をお聞かせください。

○青山政府参考人
 お答え申し上げます。人員の話でございますが、通関情報処理システムでございますが、官民の共同システムであるということから、システム運営に際しましては、税関手続及び国際物流に精通いたしました職員が必要であるということは当然でございます。このため、従来から、NACCSセンターの職員ということでございますが、先ほど先生の方からお話がございました、みずから採用したプロパー職員のほか、民間企業、財務省・税関等の国からの出向者ということで構成されているわけでございます。今回の民営化に伴いまして、基本的には私どもはやはりプロパー職員主体の組織にすることが適当と考えておるわけでございまして、国からの出向者の割合につきましては、これを順次引き下げていきたいというふうに考えておるわけでございます。 
 NACCSでございますが、現在輸出入申告の約九八%を処理しております我が国の国際物流の基幹システムでありますとともに、その取り扱います輸出入申告情報でございますが、これは企業の情報でございます、企業の秘密でございます。ということでございますので、やはり中立かつ公平かつ安定的な業務運営を図るために、国の一定の関与が必要であるというふうに考えておるわけでございます。この観点から、本法律案におきましても、NACCSを運営いたします新会社に対しましては、一定の国の関与といたしまして、政府によります議決権の過半数の保有や、あるいは代表取締役及び監査役の選定及び解職、事業計画、定款変更等に係ります財務大臣の認可、さらには主務大臣によります監督、報告及び検査を行うということで考えておるわけでございます。以上でございます。

○木原(稔)委員
 ありがとうございます。それでは、大臣の見解もお伺いしたいと思います。
 この法案においては、新会社を民営化しつつ、国が議決権の過半数を所有することというふうにされております。私は、会社法による運営を行うことで民間の活力を生かしながら、一方で、やはり公共サービスを扱う組織として一定の国の関与を受ける特殊会社というこの新会社のあり方については賛成しております。航空会社も、戦後、立ち上がってからは、当初は国の機関として出発をして、その後半官半民という形態をとり、様子を見ながら完全民営化していく、そういう経過をたどり今に至っております。そういった観点からも、このNACCS新会社も、十年以内に会社のあり方について検討するということでございます。
 それ以外の組織の形態として、私は二つ考えられたというふうに思っております。その一つ目は、完全民営化して、国の業務はもう極力、必要な行為規制のみを課した上で会社との契約により行うという形態、もう一つは、NACCSを、これは会社ではなく、民営化するのではなくて直接国が管理運営する形態、つまり、水際の取り締まりだからこれは民間にやらせておくべきではない、そういう考え方がやはりあったというふうに思われます。
 新会社設立に当たって、こうした形態をとらずに、民間にしつつも国が一定の関与をするということに至った経緯、それについての大臣の考え方を教えてください。

○額賀国務大臣
 先ほど来お話があるように、欧米では国が管理しているところが多い、しかし、韓国とか香港とか新興アジアでは民営化されているところが多いということでありました。だから、二つの考え方がおありだと思いますけれども、私どもといたしましては、新しい会社が管理運営することとなるNACCSは、我が国の国際物流の基幹システムとなっているために、国民や利用者の視点に立って、中立的な、公平な、安定的な業務運営が行われていく必要があるということがまず挙げられます。完全民営化した場合には、必ずしも収益性のない事業が適切に行われないおそれがあるということ、あるいはまた、行為規制を課したとしても、日々の業務一つ一つ国が監督を行うことは現実的ではないということといった問題が起こってまいります。また、民間利用者からも、新会社が企業情報などを取り扱うことになるために、新会社の運営に対して公的な関与があった方がいいという声も実際にあるわけでございます。他方、国が直接に管理運営する場合には、NACCSが官民共同システムであることから、国の関与を必要としない民間同士の業務処理まで国が行うこととなってしまうという問題があるわけであります。こうした背景から、新会社を民営化しながら、国が過半数の議決権を有することによって特定の株主の意向に沿った議決が行われないようにするなどの一定の関与が必要であるという形で、こういう特殊会社化したという背景があります。

○木原(稔)委員
 最後になりますけれども、我が国の空港、港湾というものは、アジア諸国の急激な昨今の伸びによって、主要港と比較すると相対的に地位が低下してきているというのは、もうこれは現実であります。国際競争力を強化するというのは喫緊の課題であるというふうに感じております。極力早期に本法案は成立をさせて、そして新しい電算システム、新会社の設立の準備を一刻も早く進めるべきだというふうに考えております。最後に、大臣の考えを伺います。

○額賀国務大臣
 これは木原委員と同じでありまして、日本は海洋国家であり、貿易立国であります。やはり、港湾、空港、こういうシステムがどういうふうに効率よく合理化されていくか、あるいはまたセキュリティーもきちっとしていくかということが問われていくわけであります。 阪神・淡路大震災以降、日本の国際貨物というのは若干低下、停滞ぎみでありますから、こういうNACCSセンター、特殊会社化することによって効率化を図って、日本の活力を取り戻していかなければならないというふうに思っております。港湾、空港の国際競争力強化の視点から、おっしゃるように、きちっとしていくことを早めていく必要があると思っております。
 本法案におきましては、本年十月にNACCSと港湾関係手続システムを統合して、そして本年十月一日にNACCSセンターを特殊会社として民営化することとしているわけであります。過去のシステム更改の事例や他の特殊会社の例を踏まえて、半年程度の準備期間は確保したいと考えております。でありますから、できるだけ早くこの法律の成立を期待しているところでございます。

○木原(稔)委員
 ありがとうございました。終わります。