「社会保障と税の一体改革」議論の資格なし

12月10日に閣議決定された来年度(平成24年度)の税制改正大綱を検証しました。細部は色々と問題がありますが、全般的に「よくまとまっている」という感想です。

今年度(平成23年度)当初の税制改正大綱が相当ダメだったにもかかわらず、野党の意見を一顧だにせず閣議決定し関連法案を提出したものだから、新年度入り前に処理できず、各税制措置の期限切れにあたって「つなぎ法案」で処理したお粗末ぶりは記憶に新しいですね。

税制がいつまでも決まらないのでは、予算の歳入面ばかりでなく経済活動に悪影響を与えますから、円滑な法案成立が望ましいことは言うまでもありません。その為には、税制に関しては政府は与野党の意見を謙虚に聞いて大綱に反映する事が大切です。今回は学習効果が多少あったものと思われます。

そもそも国家観の欠如した閣僚と、税制を理解してない議員が多数所属する与党による政権ですから、税制に明るく実績のある自民党からのアドバイスは「我慢して」でも絶対に聞いておくべきでしょう。それが国益です。

さて、「社会保障と税の一体改革」の本格的議論が始まったようです。即刻やめて欲しいと思っています。2年前の総選挙では、民主党はマニフェストで「社会保障と税の一体改革」について一言も触れていませんし、「4年間に任期中に消費税の引き上げを決めることに反対」という約束までしていたからです。

野田内閣は2年前の総選挙でのマニフェスト(国民との約束)の上に成立しています。消費税引き上げを提案するなら、あらためて公約に掲げて解散・総選挙をして、勝利してから着手するのが手順であり筋でしょう。

「社会保障と税の一体改革」は必ずやらないといけません。しかし、残念ながら現政権与党に議論をする資格はないのです。

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日本人の雄々しさ

天皇陛下78歳の誕生日にお祝いを申し上げます。

東日本大震災直後の3月16日、被災者や国民に向けたメッセージを発表されました。そのお言葉の一部を振り返ります。

●・・・何にも増して、この大災害を生き抜き、被災者としての自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています・・・

日本人には「雄々しさ」があります。その「雄々しさ」によって、我が国は過去の幾多の国難から立ち上がってきたのです。

●敷島の 大和心の雄々しさは 事あるときにぞ 現れにける

(日露戦争に際しての明治天皇の御製)

●降り積もる 深雪に耐えて色変えぬ 松ぞ雄々しき 人もかくあれ

(大東亜戦争集結後の昭和天皇の御製)

天皇陛下は、震災後に数多くの被災地や避難所を御幸し、国民を励まし続けてこられました。過労が重なり体調を崩されての入院でしたが、12月6日からは国事行為の執務を行われています。

陛下のご健康を心から祈ります。

戦略なき経済連携交渉

「TPPについて、野田内閣の情報提供は、十分ですか、不十分ですか。」

不十分だ84%十分だ7%、判らない等9% (朝日新聞調査)

政府が正確な情報を出さないために、国民的議論が全く熟していない事が見て取れます。いくら政権を取ったといえども、国の形を変えることになりかねない経済連携交渉を、下手な外交でやられてはたまったものではありません。

経済連携交渉においては、各分野において「何を取り、何を守るか」の検討が重要です。この点、TPPに置いて、米国に「例外なき関税の撤廃」を約束させられて交渉に入るなど論外であり、たとえ全ての品目が交渉のテーブルに載るとしても、農業分野をはじめ具体的な例外項目を取るという戦略を立てない限り、交渉に参加すべきではありません。その戦略が全く見えないのです。

各省に方針はあっても日本国政府として戦略はありません。先の予算委員会の質問で明らかになりました。我が国をどうしたいのかという国家観が欠如しているのです。

将来目標として、仮に「アジア太平洋自由貿易圏」の構築するとしても、様々なオプションが考えられます。どうして米国中心のTPPにそれほど固執するのか、政府はその理由を明確にしなければなりません。

TPP → 経済効果は10年間で2.7兆円

ASEAN+3 → 同 5.2兆円

ASEAN+6 → 同 5.5兆円

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「混迷の元凶」」は鳩山氏

米国議会上院は、沖縄の普天間飛行場の名護市辺野古への移設の実現性が不透明なため、パッケージで進めてきた沖縄に駐留する海兵隊員8,000人をグアムに移転する計画は進まないとして、米国政府が移転のために求めてきた1億5,000万ドル余りの予算を除外した国防法案を賛成多数で可決しました。

沖縄県とってはショックなことでした。県や県民の負担を軽減しようということで計画された飛行場移設と海兵隊員移転が事実上白紙に戻ったからです。

なぜ、このような事態になったのか、言うまでもありません。すべては鳩山氏(当時民主党代表)が「国外、少なくとも県外」と選挙公約で掲げた責任です。

新たな情報として、先の臨時国会で自民党・河井議員の質問によって明らかになりましたが、民主党沖縄県総支部連合会のホームページで米軍普天間飛行場移設問題に関して、【沖縄ビジョン2008】の中で「普天間基地の移転についても、県外移転の道を引き続き模索すべきである。言うまでもなく、戦略環境の変化を踏まえて、国外移転を目指す」と現在も記載されています。

野田総理の方針と民主党沖縄の方針は真逆であり、今でも政権与党である民主党内で意見が不統一であることを裏付けました。これでは米国議会も海兵隊移転予算を削除せざるを得ません。

「鳩山由紀夫に憲法改正を語る資格はない!」

昨日、超党派議員による「憲法96条改正を目指す議員連盟」で講師として参加した鳩山氏に、自民党の宇都隆史参議院議員が一喝したそうです。

「学べば学ぶほど、海兵隊の重要性がわかった」「県外移設は方便だった」

安全保障の基本を知らなかった鳩山氏に、憲法第9条改正を語れるはずもありません。「混迷の元凶」と批判した宇都隆史さんの主張は正しいと思います。

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ありえない法案成立率34.2%

臨時国会は延長することなく12月9日に終了しています。

法案成立率を見て驚きました。平成元年以降、最低の34.2%にとどまっています。この国難の重要な時期に政府や国会は何をやっていたのでしょうか。分析してみました。

「自民党が足をひっぱったから成立しなかった」

そんな声がニュース解説者政治や評論家から聞こえてきますが、とんでもない

成立した法律を精査してみたところ、本格的な震災対策にかかる第3次補正予算二重ローン救済法復興庁設置法などは、自民党の提案または協力によって迅速に成立しています。

一方で、公務員給与削減法案や労働派遣法改正案などの重要法案は、政府と民主党の足並みの乱れによって継続審議になっています。

復興財源や社会保障費の捻出のため歳出削減は急務。また円高・デフレ・雇用など税収を上げていくための経済対策も必要。すべて先送りのまま、国民負担になる増税だけはきっちり進める・・・理解できません。

法案成立34.2%のまま国会を閉じてしまう無神経さに呆れてしまいました。

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