5月15日、注目していた地裁判決が言い渡されました。業界のタブーに切り込んだ歴史的な判決です。
【押し紙】とは新聞社の販売部数水増し問題です。新聞社の広告料金や折込料金は実際に何人に読まれるかによって変動することから、販売部数を偽ることは問題となります。
今回の判決の重要な点は、司法が「原告販売店の予備紙率は2%であったと認められる」つまり予備紙は実配部数の2%程度であると初めて認定した点です。予備紙率2%を越える部数については「被告(佐賀新聞)の原告(販売店)に対する新聞の供給行為には、独禁法違反(押し紙)があったと認められる」とはっきり結論を下しました。
そして、その【押し紙】について、「被告の行為は、原告を含む販売店の経済的利益を犠牲にして、自身の売り上げを増加させるとともに、ABCの部数を増加させることによって広告収入を増加させることを意図したものと認められる。これは社会通念上許されない行為であり、原告の権利を侵害するものであるから、不法行為に該当する。」と断定しています。
※「一般社団法人 日本ABC協会」発行社の自称ではない、第三者としてデータを監査し、信頼出来る販売部数を認定する団体。このABC部数が広告料金等の基準となる。
例えば、販売店の仕入部数=注文部数+20%だったとします。20%から予備紙2%を引いた18%分は「年間販売目標」つまりノルマとして、販売店は引き受けることを強要され、残紙として毎日廃棄してきた【押し紙】になるのです。新聞社は20%分も含めて販売部数として公表し、広告料金収入を不当に得ていた事になります。
佐賀新聞は控訴するとのことで、まだ最終決着には至りません。しかし、今回の判決によって、地方紙とはいえ【押し紙】が表面化したことで、日々の残紙に苦しんでいる新聞販売店や、不当な広告料金・折込料金を払わされてきた広告主が声を上げるきっかけになると思います。全国紙を含めた全ての新聞社が正しい販売部数を公表する日も近いのではないでしょうか。
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