陸上自衛隊通信学校を改編

「陸上自衛隊システム通信・サイバー学校」として新たな歴史の幕を開けました。

久里浜駐屯地は、もともとは旧海軍の通信学校として開設された陸上自衛隊で最も古い駐屯地です。終戦後の昭和27年に「保安隊通信学校」が置かれてから今日に至るまで、通信・電子分野における教育の中核の役割を担ってきました。

昨今ではサイバー攻撃の脅威が急速に高まっています。サイバー攻撃は早期に発見されにくく、攻撃者側が優位にあるとされています。重要インフラの機能停止、他国の選挙への干渉、暗号資産や機微な情報の窃取の手段として、数多く行われていることが指摘されています。サイバーセキュリティ態勢の強化は待ったなしの課題です。

我が国は、この分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させることを掲げており、防衛省・自衛隊も、専門部隊の約4千人体制への拡充など、サイバー防衛能力の強化を進めていこうとしているところですが、そのためには、人材を育成する教育基盤の拡充が不可欠です。こうした中、本校は、陸自のみならず、自衛隊全体のサイバー人材育成の中核となることが期待されており、その任務と職責は極めて大きいと言えます。

横須賀市には、本校のほかにも、防衛大学校や陸自高等工科学校、海自第2術科学校など、自衛隊の教育機関が複数所在しており、自衛隊のサイバー人材育成の重要拠点となっているほか、横須賀リサーチパーク(YRP)など専門的知見を有する民間の情報通信技術の研究拠点が集積しています。こうした土地柄を生かして連携を深め、サイバー防衛能力の強化に繋げたいと考えています。

本校の一人ひとりがその持てる能力を十二分に発揮し、任務に邁進されることを切に望みます。

水陸機動団 第3水陸機動連隊 隊旗授与式

この度発足した3個目の水陸機動連隊を竹松駐屯地(長崎県大村市)に誘致いただいたこと、そして、約730名の隊員とその家族を新たに受け入れていただくことに対して、地元自治体をはじめ関係者に厚く御礼を申し上げます。これにより、必要な場合にいつでも迅速に機動展開できる体制が構築され、抑止力・対処力がより一層強化されることになります。

四方を海に囲まれ、本土から離れた多くの島々や広大なEEZ・大陸棚を有する我が国にとって、島嶼の防衛は、国の存立に直結するものであり、その防衛の鍵となるのが島嶼防衛のプロフェッショナル部隊である水陸機動団です。水陸機動団は「島嶼を守り抜く」という我が国の断固たる意思と能力を国際社会に示す、陸上自衛隊の精鋭を集めた唯一無二の存在として国民の大きな期待をうけています。

力による一方的な現状変更やその試みは決して許さないとの意思と能力を明確にしていかなければなりません。水陸両用作戦は極めて難易度の高いものですが、陸海空の統合運用により水陸両用作戦を万全に行うことができるよう、厳しい訓練に取り組み、日本一の精強な部隊として引き続き任務に励むことを切に望みます。

防衛大学校卒業式

岸田内閣総理大臣ご臨席のもと、令和5年度の防衛大学校卒業式が挙行されました。人の組織である自衛隊においては、幹部自衛官にはチームのリーダーとして相応しい立ち居振る舞いや心構えが求められます。幹部自衛官の道を歩む68期卒業生の勇姿に接し、心強く、頼もしく感じたところです。

これからの幹部自衛官に期待することは、新たなチャレンジです。全て前例踏襲では新たな時代を生き抜くことはできないでしょう。

「守るべきものを守るために、変えるべきものを変えていく」

自分たちの未来は自分たちで切り開くという強い意思を持ち、新たな時代に臨んでもらいたいものです。

海外からの留学生が母国に帰り、それぞれの軍組織で活躍されることを願っています。自衛官と留学生との繋がりは、我が国にとって大きな財産です。

先日の「日本・太平洋島嶼国国防大臣会合」にて、トンガ、フィジー、パプアニューギニアに対して、防衛大学校が留学生を受け入れることを提案したところ、それぞれの国防大臣から喜んで受けたいとの回答を得ました。新たな国からの留学生が増えることで、防衛大学校をハブとした国際交流の輪も益々広がり、インド太平洋地域の平和と安定という共通の目標が達成に近づいていくでしょう。

陸上自衛隊高等工科学校第67期生徒課程卒業式

15歳にして国防という崇高な任務を志し、親元を離れ、高等工科学校の門をくぐった生徒達。以来3年間、寮生活を送りながら勉学や部活動に精一杯取り組んできました。

本日、晴れて卒業の日を迎え、自衛官に相応しい高い知識・技能・規律を身に付けた凜々しい姿に、御家族の皆様も嬉しく感じたでしょう。

新たな時代においても、共に過ごした仲間との絆は、些かも変わることなく、これからの自衛隊人生の支えとなり続けるに違いありません。

本校で学んだことを活かしつつ、今後も日々の鍛錬を怠らず、国防の最前線で活躍できる人材として成長してくれることを期待しています。

日本・太平洋島嶼国国防大臣会合

3月19日及び20日の2日間にわたり、第2回「日本・太平洋島嶼国国防大臣会合」(JPIDD:Japan Pacific Islands Defense Dialogue)を開催しました。対面としては初会合となります。

トンガ王国皇太子殿下、パプアニューギニアやフィジーの国防大臣をはじめ太平洋島嶼国及び地域のパートナー国(豪州、NZ等)を招き、率直かつ幅広い意見交換を行いました。

私からの基調講演では、現下の安全保障環境を踏まえ、法の支配の下で自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、平和と繁栄を享受するための協力を深化させることを提案したところです。

地域のパートナー国とも連携しながら、太平洋島嶼国との防衛協力・交流を更に強化し、地域の平和と安定のため、より一層積極的に貢献していく考えです。