現職の頃、衆議院外務委員会に所属し外務官僚と議論をする機会を得ました。日本の外交を担う官僚のひとり一人は誰もが優秀で驚きました。
しかし、各個人は優秀でも省という組織になるといつも何か物足りません。それは何か、随分考えました。
外務省ではなく、日本人の考え方そのものに問題があるのだと気付きました。外交において日本に何が足りないか、「日本外交の特異性」を記しておきます。
1. 「主権に対して鈍感」
アメリカ人は英国から主権を勝ち得て独立を果たし、フランス市民は絶対王政のもと国王から主権を奪いました。いずれも命懸けで血を流して得た権利です。普通の国は主権に対して敏感です。
日本では、閣僚が靖国を参拝して中国が抗議をすれば止め、教科書の記述内容に韓国から抗議をされて訂正する。
いずれも内政干渉であり主権の侵害ですが、政府も国民は事実上黙認しています。そればかりか、現内閣は閣僚に靖国参拝自粛命令を出す始末。
2. 「事なかれ主義」
外国との間に発生するトラブルについては、出来る限り穏便に済まそうとする傾向があります。相手国を刺激せず、事を荒立てず解決するのが適切、善意を示せば先方も理解を示して円満に解決するはず、と思い込んでいます。
外務省だけでなく法務省、警察庁、地方行政、もちろん国会議員にもその傾向があります。
「事なかれ主義」は減点方式。日本外交はそれでは務まりません。資源も食料も乏しい日本では、外交を加点方式に切り替えなければ国益を守ることはできません。
(つづく)