日本外交の特異性(1)

     現職の頃、衆議院外務委員会に所属し外務官僚と議論をする機会を得ました。日本の外交を担う官僚のひとり一人は誰もが優秀で驚きました。

 

     しかし、各個人は優秀でも省という組織になるといつも何か物足りません。それは何か、随分考えました。

 

  外務省ではなく、日本人の考え方そのものに問題があるのだと気付きました。外交において日本に何が足りないか、「日本外交の特異性」を記しておきます。

 

1.    「主権に対して鈍感」

 

     主権国家とは何か、主権がいかに貴重なものかについての理解がおおよそ日本国民に定着していません。

 

  アメリカ人は英国から主権を勝ち得て独立を果たし、フランス市民は絶対王政のもと国王から主権を奪いました。いずれも命懸けで血を流して得た権利です。普通の国は主権に対して敏感です。

 

  日本では、閣僚が靖国を参拝して中国が抗議をすれば止め、教科書の記述内容に韓国から抗議をされて訂正する。

  いずれも内政干渉であり主権の侵害ですが、政府も国民は事実上黙認しています。そればかりか、現内閣は閣僚に靖国参拝自粛命令を出す始末。

 

2.   「事なかれ主義」

 

  外国との間に発生するトラブルについては、出来る限り穏便に済まそうとする傾向があります。相手国を刺激せず、事を荒立てず解決するのが適切、善意を示せば先方も理解を示して円満に解決するはず、と思い込んでいます。

     外務省だけでなく法務省、警察庁、地方行政、もちろん国会議員にもその傾向があります。

 

  「事なかれ主義」は減点方式。日本外交はそれでは務まりません。資源も食料も乏しい日本では、外交を加点方式に切り替えなければ国益を守ることはできません。

 

(つづく)

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ステイツマン

かつての米国大統領であるビル・クリントン氏は、米国では以下のように評されています。

“ A fine politician , but no statesman ”

(申し分のない政治家だったが、ステイツマンではなかった)

 

ポリティシャンもステイツマンも日本語では「政治家」と訳されますが、英国や米国では明らかに使い分けています。

「ステイツマン」は、特に優れた識見や高い品格をもつ政治家を意味するようです。

 

ビル・クリントン氏は大統領としての仕事ぶりは評価してもらえたけれど、残念ながら品格の面でステイツマンにはなれなかったようです。

 

さて、民主党代表選挙が始まりました。

二名の立候補届けがあったようです。

 

政治討論番組で、ある民主党議員が「菅氏はエンターテイナー、小沢氏はステイツマン」と解説していました。

 

「エンターテイナー」は、芸能人の中でも特に優れた技術や芸腕を持つ著名なタレントのこと。

ステイツマンと同様に、自称ではなく他人から敬意を込めて表される呼称です。

 

「菅氏がエンターテイナー」とは、エンターテイナーに対して大変失礼であります。パフォーマンスを発揮するのが上手という意味であれば納得できますが。

 

「小沢氏がステイツマン」と言うのも大変おこがましい。

不正献金問題、政治資金の不正使用、秘書が逮捕されたり自殺したり・・・

品位や品格に関してステイツマン失格であることは言うまでもありません。

 

さらに政策を見ても一貫性や整合性が無く、理念や国家観が伝わってこない。

私利私欲・党利党略を目的として、「政策よりも選挙が大事」と何のためらいも無く行動する。

 

仮にリーダーシップがあったとしても、こんな人がステイツマンであろうはずもないでしょう。

 

あえて言わせていただければ「政治屋」。

 

その政治屋に群がる方々もまたさらに見苦しい。

恥も外聞もない姿を、我々国民は目に焼き付けておきましょう。

 

代表選挙の期間が長すぎます。

権力闘争も理解はできますが限度を超えています。

 

課題は山積。

日本の置かれた状況を考えて、世界の空気を読まないと取り返しのつかないことになりかねません。

 

私は英語でいうところの「Statesman」と称される政治家になりたいと強く思っています。

 

一日も早い臨時国会の開会開催を願うものです。

 

【写真】地域の活動を通じて多くの人の話を伺っています。

 

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