どうして米国は日本にTPP加入を求めてくるのでしょうか。
それは米国の財政・経済事情を分析すれば分かってきます。
オバマは大統領選挙中に「私が大統領になったら年棒25万ドル以上の高額所得者に対する税率を引き上げ、富の再配分を行う」と、過去の候補者と違い社会主義的な内容の演説をしました。
高額所得者から多くの税金を取り上げ大きな政府を作り、低所得者の利益になる政策を約束たのです。
このため低所得者はこの演説に感化されて、多くの人々がオバマに投票しました。そしてオバマは大統領になり、圧倒的な支持率の下で公約通りの政策を実行することになります。
米国は「アメリカらしさ」を失いました。
米国が世界一の経済大国になれたのは、国民の人権と自由を大幅に認めて彼らに自由に経済活動を認め、高額所得者の税金を安くして小さな政府を作りコストを削減したことにあります。
もはや米国にかつての「アメリカン・ドリーム」は存在しません。
歴代の米国大統領は共和党だろうが民主党だろうが、この点を当然のように理解し推進してきました。オバマは米国政治の伝統的な手法を「CHANGE」させてしまったのです。
税収が上がらないままバラマキ政策を実行した結果、就任当時10兆ドルであった政府の累積赤字は、就任2年にして14兆ドルを突破しました。先般、国債がデフォルト(債務不履行)寸前になったのは記憶に新しいですね。さらに、失業率が10%台に突入寸前で、加えてインフレが進んでいます。
日本より遥かに悪い環境で、国民生活は大変厳しい状況です。米国の世論調査によると、オバマ大統領の支持率は30%台に落ち込み、「政府は誤った軌道の上を走っている」と答える人が70%を超えています。
さて、次期大統領選挙に勝つためにオバマに残された最後の方法は貿易により外貨を稼ぐ事です。
TPP加入予定国で圧倒的に貿易額が大きい国が米国と日本です。日本をTPPに加入させて、対日輸出によりジャパンマネーをしっかり取り込み、経済を活性化させなければ財政再建の道は閉ざされ、大統領選挙にも勝てないでしょう。
日本に加入してもらわないと意味がない。米国政府(オバマ政権)にはそんな事情があるのです。