不適切事案に係る隊員へのメッセージ

本日、防衛省における特定秘密に関する事案、海上自衛隊における不正な手当の受給や不正喫食といった服務事案、そして、内部部局幹部職員によるパワー・ハラスメント事案について、公表するとともに、関係者に対する処分を行いました。

また現在、潜水艦修理契約に関し、隊員の規律違反や、契約の適正性に対する疑いが生じており、特別防衛監察を実施しています。早急に調査を進め、判明した事実関係に基づき、厳正に対処します。

「信なくば立たず」

という言葉があります。防衛省・自衛隊の活動は、国民の信頼あってのものです。多くの隊員の皆さんや、その先輩方によるこれまでの真摯な仕事振りを通じて、防衛省・自衛隊の国民からの信頼は積み上がってきました。その結果、国民の9割が自衛隊を信頼している、とも言われています。しかしながら、一部の隊員による、これら一連の事案によって、その信頼を裏切るものとなってしまいました。

今回公表した事案の性質は多岐にわたっていますが、根源的には共通する部分もあります。私はこの機会に、皆さんに問いかけたいと思います。

「あなたは、守るべきルールを正しく理解していますか。わかっているつもりではありませんか」

「また、周りの雰囲気に流されて、悪いとわかっていながら、これぐらいは大丈夫だろうと思ってはいませんか」

「または、問題が起こっている現場を見て見ぬ振りをしてはいませんか」

「そういった自分自身の振る舞いを、あなたの家族や愛する人に誇ることはできますか」

防衛省・自衛隊は人の組織であり、隊員一人ひとりの高い使命感がなければ、国防という、崇高で困難な任務を全うすることはできません。

我々は、立場や任務はそれぞれ違いますが、みな等しく、「防衛省・自衛隊」という大きな看板を背負っています。今一度、我々一人ひとりの行動が正しいか、そして、働きやすい職場環境となっているか、そういったことに思いを致し、国民の信頼を取り戻すため、全力で取り組んでいきましょう。

昨年9月に防衛大臣に就任した際、私は皆さんに、これから積極的に現場に足を運び、皆さん隊員の要望を真摯に受け止め、そして改革していくことをお約束しました。

実際に様々な基地や駐屯地を訪れ、厳しい環境で働く皆さんと直接接し、皆さんの真剣な眼差し、そして、任務に臨む真摯なその姿を見て、厳しい現場で働く隊員こそが自衛隊の、そして日本国の宝であると確信をいたしました。

私は、いかなる時も皆さん隊員と共にあり続けます。今回の事案を私も一緒になって真剣に受け止め、そして私は先頭に立って、信頼回復に取り組んでいく覚悟です。どうか皆さんにおかれても、改めて気を引き締め、共に職務に当たっていきましょう。

令和6年7月12日 

防衛大臣 木原 稔

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日・比「2+2」とRAA

日本・フィリピン「2+2」(外務・防衛大臣会談)を開催するため、上川陽子外務大臣とマニラを訪問しました。

ホストを務めていただいたフィリピン側のテオドロ国防大臣、マナロ外務大臣の温かいホスピタリティに感謝します。

また、日本・フィリピン円滑化協定(RAA)の署名という歴史的な機会にも立ち会いました。この協定により自衛隊とフィリピン軍の協力・交流がさらに活発化することになります。

我々を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、インド太平洋地域の平和と安定を維持していくために、フィリピンの様な同志国との連携を具体的に示すことは極めて重要です。

これまで、日本とフィリピンの両国は、共同訓練、海自艦艇による寄港、能力構築支援など防衛当局間の協力を積み重ねてきました。さらに、2基の日本製警戒管制レーダーがフィリピンに納入されるなど、防衛装備・技術協力についても目覚ましく進展しています。

日本とフィリピンは二国間にとどまらず、多国間においても、本年5月のハワイでの「日米豪比防衛相会談」に加え、4月には日米豪比、6月には日米加比の4か国間で海上協同活動として共同訓練を実施するなど防衛協力が密に行われてきました。

本日の成果も踏まえ、これからも「自由で開かれたインド太平洋」の実現のため、連携を更に強化していく決意です。

礼文分屯地・稚内地区を視察

陸上自衛隊礼文分屯地を視察しました。ここでは「最北の自衛隊」として、主に宗谷海峡を航行する多くのロシア艦艇等を監視・情報収集しています。

ロシアは我が国固有の領土である北方領土を不法占拠し、今なおウクライナ侵略を続けています。また、近年では中国との共同航行も確認される等、軍事活動が活発化しています。

稚内に移動して、稚内分屯基地を視察しました。この地域は国境警備の要として、明治の時代から旧海軍の施設が設置されていました。終戦後の一時期には米国陸軍も駐留していた地区です。

現在、稚内分屯基地には陸・海・空自衛隊の各部隊が所在しており、基地としての重要性は増しています。ロシアの活発な軍事活動に加えて、北朝鮮は北海道周辺を含めた我が国EEZ内へ弾道ミサイルを多く落下させています。

こうした監視活動や情報収集活動により、我が国周辺の軍事動向を常時継続的かつ正確に把握することは、我が国防衛に万全を期すための大前提となります。

北海道の最先端という過酷な環境で、時には緊迫した状況のもとで勤務に当たる自衛隊員の働きが、国民の命と暮らしを守り抜くための基盤となっていることを改めて隊員に伝えました。

旭川駐屯地を視察

陸上自衛隊旭川駐屯地を視察しました。司令部のある第2師団は、広大な北海道北部の守りの要です。

旭川には特科連隊や後方支援連隊、施設大隊を始めとする多くの部隊が所在しているほか、名寄、遠軽、留萌、上富良野の各駐屯地を含め、第2師団としては実に多くの隊員が所属しています。

陸上自衛隊は南西方面の防衛体制強化を始めとする各種取組を進めています。北海道においては、統合輸送能力により、南西方面に迅速に展開・移動させることを前提として高い練度を維持した1個師団、2個旅団、1個機甲師団を配置することとしています。

また、北海道の良好な訓練環境を最大限生かし、抑止力・対処力の実効性を更に高め、真に実効的な防衛力を築くことが、我が国の意思と能力を示すことになると考えています。

防衛省・自衛隊70周年にあたっての防衛大臣談話

70年前の今日、防衛庁設置法と自衛隊法が施行され、防衛庁・自衛隊が誕生しました。

これまで防衛省・自衛隊の活動に御理解と御協力を賜ってきた皆様に対し、防衛大臣として、心からの感謝を申し上げます。

発足直後、木村篤 とく太郎 たろう初代防衛庁長官は、職員は皆、防衛庁・自衛隊の「新しい伝統」を自分たちで作っていくという希望に燃えていると語りました。

終戦後の独立回復から2年、戦争の記憶も色濃く残る中、自衛隊は我が国の防衛という崇高な任務を担い、その完遂に努めてきました。

そして、国際情勢が目まぐるしく動く中で、自衛隊の任務は次第に拡大していきました。21世紀に入ってからも、防衛省への移行や平和安全法制の成立などにより、防衛省・自衛隊に期待される役割はより一層重くなってきています。

今日、1つの節目を迎えるに当たり、木村長官が語った「新しい伝統」とは何かと考えました。

それは、いついかなる時も「国民のための自衛隊」である、ということではないかと思います。

今では国民の9割が自衛隊を信頼していると言われていますが、それは、隊員1人ひとりがこの「新しい伝統」を胸に、ひたむきに任務に励んできたからこそです。

現在、我々は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、防衛力の抜本的強化に取り組んでいるところですが、これからも国民の信頼と期待に応え続けられるよう、防衛大臣として、隊員諸君とともに一層努力していく所存です。

伝統とは、長い歴史を通じて培っていくものです。「存在する自衛隊」から「行動する自衛隊」と言われて久しいですが、任務が増大する中で、我々自身もまた、新たな伝統を作っていかなければなりません。

本年秋には創設70周年を記念する自衛隊観閲式を実施するとともに、来年以降、隊員の使命の自覚や士気の高揚を図りつつ、新たな形を模索していきたいと思います。

こうした取組も含め、皆様におかれましては、引き続き、防衛省・自衛隊の活動に御理解と御協力をいただければ幸いです。

令和6年7月1日
防衛大臣 木原稔

https://www.mod.go.jp/j/press/movie/2024/2024_discourse.html

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