「大きく切り刻まれた日本の科学技術予算」

 

米国に「Nature」という権威ある科学雑誌があります。

興味がある記事を読みます。

 

昨年11月19日号にJapanese science faces deep cutsという題の記事が掲載されて世界中に衝撃を与えました。

 

記事には、文部科学省が最先端研究開発支援プログラム事業の2,700億円の研究費を1,000億円に減額したことや、理研のバイオリソースセンターと植物科学研究センターに対する予算を3分の1にしたこと、深海地球ドリリング計画の予算を20%縮減したこと、海洋研究開発機構の地球内部ダイナミクス領域の予算を半減させることなどが載っています。

 

また、大型放射光施設(SPring-8)や有名になった世界最速のスーパーコンピューター開発事業の大幅削減、さらに研究プロジェクトにとどまらず、多くの研究者の命綱である研究補助金の減額されることも批判的に書かれていました。

トヨタ車のリコール問題について前回の日記に書かせていただきましたが、その背景には、日本の科学技術への信頼が損なわれ始めている現実があります。

 

その原因となったのは、この「Nature」の記事ではないかと推測できます。

 

「資源の乏しいわが国にとって、科学技術の脆弱化は国家の衰退を意味する」

 

そう言って、4人のノーベル賞受賞者(化学者の野依良治博士、免疫学者の利根川進博士、物理学者の江崎玲於奈博士と小林誠博士)と科学者の代表団が総理と会談し、科学技術予算削減の見直しを求めました。

 

私は彼らの言うことは正しいと思います。

 

多少は復活したものの、「子ども手当」や「高速道路無料化」のために大きな犠牲となった科学技術予算。

 

何をもって「画期的な予算」などといえるのか。

 

残念ながら、このままでは日本ブランドの信頼は地に落ちてしまいます。

TOYOTA

トヨタ車のリコール問題.。

リコールはアメ車こそ日常茶飯事。
技術的なことを冷静に分析しても、ここまで騒ぐほどではないのでは?

リコールがここまで大きくは取り上げられるのには理由がありました。

  1. 米国では中間選挙を控えている。公聴会では議員による売名行為ともいえる「政治ショー」をしたかった。
  2. 米国ではオバマ大統領の経済政策が機能せず、アフガニスタンへの増派も過剰な財政負担。このまま、公的資金を投入したゼネラル・モーターズが復活しなければ、オバマ政権は危機に陥る。
  3. 日本の「エコカー減税」は米国車を対象外にしたことも刺激した。

しかし、私が最も言いたいのは政府の対応の悪さです。

日本が誇る世界のトヨタが、米国議員による「政治ショー」で徹底的にいじめられているのに終始見てみぬふり。

こういう場合、政府は国益を考えて助け舟を出すのが常識。

ところが、鳩山総理は「真摯に対応してもらいたい」とさえ言いました。
「援護射撃」どころか「うしろから鉄砲」。

日本のトヨタが国際社会でどういう位置づけなのか、日本ブランドの信頼を担っていること、このままほっとけばどうなるのか、全く危機感がない。

今後、トヨタは信頼回復のために消費者の不安を取り除き、精力的に販売促進活動を行い、失った市場シェアの大部分を取り戻すでしょう。

私は反転攻勢に転じるトヨタを応援します。

無責任な目標

まもなく3月です。

政府は3月中に、温室効果ガス25%削減達成の諸施策を盛り込んだ「地球温暖化対策基本法案」を作成すると約束しています。

25%削減は世界的に突出しているだけでなく、数年前に省エネを済ませている日本にとって異様に高いハードルです。数値の根拠もあいまいです。

これほど難しい目標であるにもかかわらず、半年間、政府内で本格的に討議された形跡はみえません。不景気の中で日本経済へ及ぼす影響や目的達成のための手順や方向性も語られていません。

太陽光発電の普及に要するコストなどは、電気料金の値上がりとして消費者が負担するしかないのですが、家計を圧迫する金額さえ明確には示されていません。原発の増設や稼働率の向上も避けて通れないはずです。

しかし、国民は具体的な説明を何も受けていないまま。

ケニア出身のワンガリ・マータイさん。環境分野の活躍が認められてノーベル平和賞を受賞したことで有名な活動家です。2005年に来日して、日本語の「もったいない」に出会います。

環境活動の「3R」は、Reduce(削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)ですが、マータイさんによれば「もったいない」には3Rに加えてRespect(尊敬)が込められているといいます。

神社の御札はゴミ箱には捨てられないのと同様に、「もったいない」の根底には自然やモノに対する敬意があります。

「もったいない」という気持ちは、家庭教育の中で培われてきたものです。現代では「もったいない」を教える大人が家庭にいないのではないでしょうか。

浪費や粗末な扱いを禁じて倹約を行いなさいと運動する前に、「もったいない」の精神を教える等の道徳教育・倫理教育費を増額することが「急がば回れ」のような気がします。

「事業仕分け」で仕分けられてしまいそうですが。

貴乃花親方の改革

貴乃花親方は頑張っているのだろうか。

日本人最後の大横綱であった親方は、相撲界の常識を破って、若くして相撲協会の理事になりました。

「勉強して待っていれば将来は理事長になれる」「まだ若い。相撲界の慣例を壊しかねない」との批判も多かったように思います。

「若貴ブーム」以来、相撲界の凋落が激しい。横綱をはじめ強い力士は外国人ばかりでは止むを得ないだろう。テレビ中継で垣間見る館内の客席は、千秋楽でさえ空席が目立つ。

ベテランの親方衆も悪気はなかったと思います。しかし、「相撲界の伝統」を振りかざし、在任中の安泰ばかりを考え、年功序列だけに固執した理事会運営。相撲界の人気回復策については完全に無策でした。

「このままでは国技である相撲そのものがなくなる」そう考えた若い親方達が出てきてもおかしくない状況であったようです。

これからの相撲界を背負う貴乃花親方だからこそ、数年後に権力の座を手に入れるのではなく、手遅れになる前に一刻も早い改革に乗りだそうとしたことと推察されます。

「保守するために改革する」一見矛盾しているようですが、時代に合わせて変えていかなければ、伝統文化そのものが消滅してしまう。

余談ですが誕生日は同じ8月12日。「若手保守改革派」貴乃花親方の手腕に注目しています!

【写真】エコウィンハウスを開発し、「エコプロダクツ大賞国土交通大臣賞」はじめ3賞を受賞した村上尊信さんの受賞祝賀会に出席。

告知です

2月26日(金)20:00〜 ラジオ「くまもと天国」FM79.1に出演!

2月27日(土)16:00〜 「街頭演説」下通りパルコ前(予定)にて!

 

週末も、木原みのるの活動にご注目ください!