熊本市近郊には大型店が増えました。郊外型の大型店が伸びる背景には、車でのまとめ買いといった欧米型の消費スタイルへの変化があります。
一方、日本の人口は来年がピークを迎えます。高齢化も益々進んでいきます。人口が増え、街が広がるとの考えが根底にある現行の都市計画法では限界があります。中心市街地は賑わいを吸い取られて空洞化する一方です。「シャッター通り」と化した商店街は象徴的です。
そこで、中心市街地に活気を取り戻すことを狙い、自民党は「まちづくり三法」見直し案を発表しました。具体的には「都市計画法」「中心市街地活性化法」の改正案を来年の通常国会に提出します。一番の柱となるのは、延べ床面積が10,000平方メートルを超える大型集客施設の郊外立地を、商業地域などに限定することです。郊外へ積極的に出店している大型ショッピングセンターにとってみれば打撃となるのはまちがいありません。
この点、出店規制の緩和・撤廃からの大きな政策転換となる荒療治は、地域経済を衰退させる「両刃の剣」だという考えがあります。経済産業省の意見募集でも、消費者からは規制反対の声が大部分を占めたといいます。
しかし、少子高齢化時代において、近い将来はコンパクトな街づくりが必要になってきます。また、住環境の中心部回帰にしても、商店街が衰退すれば生活の利便が損なわれるし、コミュニティー形成や防犯など多面的な役割を地域で担っている点にも留意しなければなりません。
よって、秩序あるまちづくりの観点から一定の歯止めはやむをえないと考えます。そして、法改正の際には、既得権の擁護や特定業態の狙い撃ちに陥らないように、また透明性を欠くことのないように注意しなければなりません。