●本日、文化審議会が行われ、人吉市の「青井阿蘇神社(本殿・廊・幣殿・拝殿・楼門)」が国宝に指定される運びとなりました!すでに重要文化財でしたが、その中でも極めて優秀で、かつ、文化的意義の深いものが国宝としての指定基準です。熊本県に所在する文化財としては本件初の国宝になります。私は昨年夏に訪問しました。皆さんも是非訪問することをお勧めします。
国宝として評価された点は以下の3点です。
- 社殿群は、相良氏の発起により慶長15年から同18年にかけて計画的に造営されたもので、統一的意匠を持ち、完成度が高い。
- 各社殿は、急勾配の茅葺屋根、黒漆塗と赤漆塗を併用する技法、木鼻等の意匠に中世球磨地方の建造物の伝統を継承しつつも、錺(かざり)金具の意匠にみられるような桃山期の華麗な装飾性も取り入れ、近世の球磨地方における社寺建築の手本となった。
- 本殿前面の雲龍など要所を飾る秀麗な彫刻、特異な幣拝殿形式などは、広く南九州にその影響が認められ、南九州における近世神社建築の発展において、深い文化史的意義が認められる。