円高が止まりません。9月15日には政府・日銀が6年半ぶりの円売り・ドル買い介入に踏み切ったにもかかわらず、円高トレンドは変わる気配がありません。
今回は、思い切った対策をとったとはいえ、欧米協調での介入が得られず日本単独の介入になったため、その効果は限定的だったと見られます。
言うまでもなく、円高が進めば、一時的に輸出企業に打撃を与えます。急激な円高は日本経済にとって大打撃です。今回は円高対策が必要なケースであることは間違いありません。
しかし、単純に「円高=経済損出」ではないのです。過去を振り返ってみると、円はこの40年間で1ドル=300円台から90円を切るまでに高くなっていますが、その間に緩やかではありますが輸出額は最高で8倍に増えています。
それは、日本が資源のない「ものづくり大国」だからです。製造業の多くは、外国から石油や鉄鉱石といった資源を輸入し、それを加工して輸出しています。高度経済成長は、この「日本型ビジネスモデル」が成功した例です。
長期的に見れば、緩やかな円高によって輸入に関してメリットがあったことが、日本の経済成長をけん引してきたとも言えます。
(つづく)
【写真】熊本県主催のテロを想定した救助活動訓練。地域住民も積極的に参加しました。