国会の年間予算額は衆議院が約650億円、参議院が約400億円。一人当たりにすると、衆議院議員は約1億3,500万円、参議院議員は約1億6,500万円です。議員歳費は衆参議員ともに約2,200万円なので、歳費以外で大部分の費用が発生しているのがわかります。
さて、野田内閣は「増税内閣」と言っても過言ではありませんが、東日本大震災の復興財源を捻出するとなると国民は反対しにくいわけです。ただし、多くの国民の思いは「まずは国会議員の定数削減が先ではないか」というように聞こえてきます。メディアも評論家もそのような論調が主流ですね。
復興に必要な予算は10年間で30兆円と言われています。その財源をどうするかが争点になっているのですが、「国会議員の数を減らせば復興予算を捻出できる」ようなイメージは正しくありません。極端に言えば、国会議員をゼロにして国会を廃止すれば約1,050億円、10年で約1兆円500億円捻出できるのですが、30兆円には到底足りないわけです。
今回の最高裁判決で、平成21年の衆議院総選挙が違憲になりました。「一票の格差」是正が至上命題にもかかわらず、各政党や政治家個人の思惑が絡んで対策が進んでいません。衆議院小選挙区の議員定数の削減はせずに、比例区の議員定数を大幅に削減する案が主流ですが、これでは都会の議員数だけが増加することになります。今回の復興対策やこれまでの景気対策でも明らかなように、地方の実態や声が十分に国政に反映される仕組みを考えるべきでしょう。
最高裁の違憲判決を契機に、思い切って国会改革や選挙制度改革を断行すべきです。議員定数の削減に大きな歳出減効果があるとは思いませんが、「まずは隗より始めよ」の思いで、身を切る「覚悟」を示すことが大事だと思います。