「社会保障と税の一体改革」議論の資格なし

12月10日に閣議決定された来年度(平成24年度)の税制改正大綱を検証しました。細部は色々と問題がありますが、全般的に「よくまとまっている」という感想です。

今年度(平成23年度)当初の税制改正大綱が相当ダメだったにもかかわらず、野党の意見を一顧だにせず閣議決定し関連法案を提出したものだから、新年度入り前に処理できず、各税制措置の期限切れにあたって「つなぎ法案」で処理したお粗末ぶりは記憶に新しいですね。

税制がいつまでも決まらないのでは、予算の歳入面ばかりでなく経済活動に悪影響を与えますから、円滑な法案成立が望ましいことは言うまでもありません。その為には、税制に関しては政府は与野党の意見を謙虚に聞いて大綱に反映する事が大切です。今回は学習効果が多少あったものと思われます。

そもそも国家観の欠如した閣僚と、税制を理解してない議員が多数所属する与党による政権ですから、税制に明るく実績のある自民党からのアドバイスは「我慢して」でも絶対に聞いておくべきでしょう。それが国益です。

さて、「社会保障と税の一体改革」の本格的議論が始まったようです。即刻やめて欲しいと思っています。2年前の総選挙では、民主党はマニフェストで「社会保障と税の一体改革」について一言も触れていませんし、「4年間に任期中に消費税の引き上げを決めることに反対」という約束までしていたからです。

野田内閣は2年前の総選挙でのマニフェスト(国民との約束)の上に成立しています。消費税引き上げを提案するなら、あらためて公約に掲げて解散・総選挙をして、勝利してから着手するのが手順であり筋でしょう。

「社会保障と税の一体改革」は必ずやらないといけません。しかし、残念ながら現政権与党に議論をする資格はないのです。

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