今年末に選挙を迎えるオバマ大統領はパネッタ国防長官と共に「新国防戦略」を発表しました。その後、普天間飛行場移設と在沖縄海兵隊の一部グアム移転を「パッケージから切り離す」と発表しています。
「新国防戦略」の概要は、従来の2正面作戦(2つの戦争を同時に展開できる能力)から1正面+抑止力作戦(1つの戦争を行い、別の地域で戦争勃発を防ぐ程度の能力)への戦略転換です。これによって米国の国防予算は大幅に削減されます。
その「新国防戦略」の「1正面」は中東(アフガニスタン及びイラン)に対するもので、「抑止力」は極東アジア(中国及び北朝鮮)に対するものです。これは米国にとっての安全保障上の脅威が中東と極東アジアに存在している事を示します。
中国の軍事費は毎年2桁増で伸びています。公表されている分だけで既に日本の防衛費の約2倍。特に太平洋方面での海軍力を増強しています。どうして軍事力を増強するのか明らかにしていない唯一の国家が中国です。
米国と安全保障条約を締結している我が国にとって、米国が2正面作戦を放棄したということは、中東で戦争が勃発し米軍が参戦した時には、潜在敵国(言うまでもなく中国や北朝鮮)が台湾海峡や朝鮮半島において戦争を仕掛け、領土侵攻を行うリスクが高まったものと断言します。
今のまま行けばオバマは再選する見込みが高い。そうなると米国政府は日本の頭越しに世界第2位の経済大国と良好な関係を求めるに違いありません。そうなると我が国は米国との安全保障条約をどの程度まで信頼できるのでしょうか。
国防を他国に依存している現状を律儀に維持している場合ではなくなったことを申し上げます。我が国に残された時間はそう長くはありません。