KUMADAIマグネシウム合金(1)

輸送機器の軽量化によるCO2ガス排出抑制や省エネを可能にする21世紀の材料として、マグネシウム合金が注目されています。

マグネシウムがスチール・アルミニウム・チタニウムよりも優れている点(長所)

  1. 軽量(実用金属で最も軽量)
  2. 豊富な天然資源
  3. 身体に優しい(人体の構成要素、「豆腐のにがり」等)
  4. 環境に優しい(高いリサイクル性)

しかし、アメリカ連邦航空局は、民間航空機に対するマグネシウムの使用を禁止してきました。理由は以下の通りです(短所)

  1. 常温強度が低い
  2. 耐食性が低い(腐食しやすい)
  3. 発火温度が低い(燃えやすい)

従来のマグネシウム合金は航空宇宙分野で利用することはできません。世界各国は従来のマグネシウム合金の弱点を克服した新しい戦略材料としてマグネシウムの研究開発を推進してきました。

そして、ついに我が国においてKUMADAIマグネシウム合金が仕上がりつつあります。アルミニウム合金を凌駕する比剛性と比強度を持つとともに難燃・不燃性を合わせ持っています。つまりマグネシウムの長所を維持したまま短所を克服した、まさしく航空宇宙構造材料に適した画期的な素材です。

昨日、熊本大学工学部にある先進マグネシウム国際研究センターを視察しました。センター長であり開発者の河村能人(かわむらよしひと)教授から詳しい説明を聞き、現時点における研究開発する上での課題などを伺い、将来の可能性について意見交換しました。またセンター内の設備や機械を見学させていただきました。

様々な分野で活用されると思いますが、特に航空宇宙分野では「マグネシウム新時代」が到来するでしょう。このチャンスを逃さないように、我が国の産官学が連携して研究開発実験を推進する必要があります。

(つづく)