フェイクニュースとは、メディアやブログやSNSによって公開された本当ではない記事のことで、デマとは、そのようなSNS等で広まる、いい加減なうわさ話のことを言います。(総務省ホームページより)
特に目につくようになったのは、東日本大震災(2011年)以降、ちょうどTwitterとFacebookの利用者が増え始めた頃でした。私が経験した熊本地震(2016年)では、「動物園からライオンが逃げ出した」とのデマが、合成写真と共に拡散され、全国ニュースで取り上げられました。古くは、関東大震災(1923年)後に、「不逞鮮人の放火及び井戸に毒薬投下を警戒する」とのフェイクニュースが大手新聞に掲載され、社会秩序の乱れに乗じて、朝鮮人や中国人が数多く殺傷された事件もありました。(関東大震災朝鮮人虐殺事件)
今回の感染症においても、デマによって直接的・間接的に被害を受けた人は多いではないでしょうか。例えば、「木原みのる事務所の秘書が感染した」、「4月1日に東京がロックダウン(都市封鎖)する」というデマは、多くの人から問い合わせがあり、対応に追われました。また、「マスクと同じ材料で作っているトイレットペーパーが足りなくなる」というデマによって、瞬く間にスーパーマーケットやドラッグストアからトイレットペーパーが消え、日本家庭紙工業会から在庫は十分にあると「お知らせ」を報じてもらう事態になりました。
このような完全なデマや誤解を招きかねないフェイクニュースを意図的に記事に書く者、または、SNSで根拠不明の情報を流して大衆を扇動しようとする者のことをデマゴーグと言います。災害時や非常時だけでなく、平常時からデマを煽る悪意のデマゴーグを見かけます。
そのようなデマやフェイクニュースを拡散してしまう人の心理としては、恐怖と不安から冷静な判断ができず、疑うことなく信じこんで、あるいは善意で多くの人に知らせてあげようとして、「リツイート」や「シェア」してしまうようです。これがチェーンメールのように拡散していきます。内容によっては、二次被害を引き起こします。
多様化したメディアによる情報が世の中に溢れる時代です。そして、SNSはとても便利なツールで、現代社会では欠くことのできない通信網(コミュニケーション・ネットワーク)として定着しました。
何が虚偽で、何が真実の情報か、国民一人ひとりが冷静に情報の精度を確かめる事実確認(ファクト・チェック)の姿勢が重要になります。私達自身で《※メディア・リテラシー》を高めていくしか方法はありません。
私の感覚でしかありませんが、毎年の自然災害で鍛えられた日本人のメディア・リテラシーは比較的高いと思います。誰かに伝える前に、常に「疑い」を持ち、必ず情報の発信源と根拠を確認するよう心掛けましょう。
※メディア・リテラシーとは、民主主義社会におけるメディアの機能を理解するとともに、あらゆる形態のメディア・メッセージへアクセスし、批判的に分析評価し、創造的に自己表現し、それによって市民社会に参加し、異文化を超えて対話し、行動する能力である。(Wikipediaより)