40年前の1985年は高校1年生で、私の誕生日に起こった日航機123便の墜落事故は強烈な印象が残っています。翌日、副操縦士の佐々木祐(ささき・ゆたか)さんは熊本市出身で、当時通っていた同じ高校の卒業生であることを知りました。
縁があって1993年に日本航空株式会社に入社。2000年にボイスレコーダーの一部が公開され、最後まで必死に立て直しに努めていた操縦室の様子が伝えられるまで、パイロット(操縦判断)に対する誹謗中傷が時々聞こえていました。
御巣鷹山での慰霊式や慰霊登山の際に罵声を浴びたこともありましたが、会社としてもご遺族に寄り添い、誠心誠意を尽くし、時の経過とともに、徐々に落ち着きを取り戻していました。事故の教訓は決して忘れることはありません。
ところが近年、SNSの普及にともない悪質なフェイクやデマが再燃し、その手の書籍がベストセラーになる始末。2023年に防衛大臣に就任しましたが、一部のSNSには「機体は自衛隊に誤射された」「証拠を隠滅するために火炎放射器で生存者を焼き殺した」「JAL出身の大臣は陰謀説を明らかにせよ」そのような書き込みが散見されました。
今年の通常国会では佐藤正久参議院議員(当時)が国会でこの問題を取り上げました。佐藤議員によると、事故現場付近の登山道には「自衛隊が意図的に殺害した乗客・犠牲者」と記された「慰霊碑」があるとのこと。中谷防衛大臣は当然ながら「自衛隊の関与はない」と関係性を全面否定しましたが、事故40年の節目にあたり、炎上が収まる気配はありません。
事故原因は事故調査委員会により解明されました。ボーイング社も事故に繋がった過去の修理ミスを認めています。前防衛大臣として、フィクションや妄言によって自衛隊の存在を貶める誹謗中傷は看過できません。
先の参院選でも問題となりましたが、国民(特にSNSを多用する若い世代)のメディアリテラシーを高めていくことが求められます。
