野田総理は「言行不一致」と言われはじめました。
私がそれを感じたのは、組閣直後にマスコミを引き連れて散髪屋に行った時のことでした。
おそらく『1,000円カット』に通う姿を取材させて庶民的な所をアピールしたかったのでしょう。
総理は財務大臣の時も、代表選挙でも、国会での所信表明でも、以下のような力強い演説を繰り返しています。
「景気の回復にはデフレからの脱却が必要」
『1,000円カット』の是非は次回に譲りますが、理容組合加盟店で調髪をすれば約3,000円が適正価格です。『1,000円カット』はデフレを象徴する「価格破壊」であることは間違いありません。人口密集地域だけで通用する商業形態です。
さて、政府では2012年度予算の作業が始まっています。
世界経済において、日本経済に求められるのは「超円高」の打撃を和らげる大幅な国内需要の拡大です。積極財政で内需拡大に努めなければなりません。
そのための中心的課題は「デフレ脱却」です。
政府債務残高対GDP(国内総生産)比で見た我が国の財政事情は、先進国で最も悪いのですが、ギリシャや米国のような信用不安は起きていません。金利も超低空飛行が続いています。
これは、日本が国債の9割以上を国内で消化しており、経常利益が黒字であり、世界最大の債権を保有する純債権国であるからです。
世界的な評価としては、日本は財政危機の国ではありません。
今やるべきことは、積極財政による内需の拡大です。一時的に財政赤字が増えて遠回りのようですが、デフレ脱却が適い、税収が増えて、中期的には財政健全化も進むでしょう。
野田総理は「言行不一致」と言われないように『1,000円カット』等には行かず、正面からデフレ脱却に向けた政策を実行し、景気回復に結びつけて欲しいと思います。