川内原発視察(3)

建屋の浸水および漂流物対策などは確認できた。

次に、車に乗って広い敷地内を視察。建屋のある敷地の高さは海抜13メートル。満潮時での基準津波は海抜4メートルとなっているので、敷地高さ(EL)は十分ということになる。さらに安全を期し、EL+25メートルからEL+38メートルの高台に「緊急用保管エリア」を第1から第4まで分散させている。直流電源用発電機、放水砲、移動式大容量ポンプ車、可搬型電動低圧注入ポンプ等を確認した。

敷地内には警察の装甲車が停車し、車内で警察官2名が常駐している。発電所のための消防署がある。また、平成27年度までに緊急時の司令塔として「免振重要棟(仮称)」を設置するとしている。それまでの間は9月末までに完成予定の「代替替緊急対策所」で対応するとの事。

最後に、「原子力訓練センター」を視察。中間建屋で見た「中央制御室」と同じシュミレーターがあり、毎日訓練を実施しているとの事。この日は重大事故が発生し発電所内の交流電源が全て喪失することを想定した訓練を行ってもらった。あくまでシュミレーションであるが、本物と同じ機器を用いた訓練は臨場感にあふ

れていた。

発電所の緊急安全対策については理解できたし、新規制基準への対応に向けて全般的によくやっていると思った。もちろん、この日の視察だけでは川内原発のことを全て理解できたとは言えない。例えば、十分に考慮されているとされる活断層は耐振設計上本当に大丈夫なのか。また、放水口から東シナ海に大量に流れ出る海水。安全性とは関係ないが、取水口と放水口での海水温差は約5度もあり漁場や環境に与える影響はどうなのか。

九州電力は既に新規制基準への適合性確認を原子力規制委員会に申請している。今後は専門的見地から判断を下すが、最終的には政治が責任を負うことになる。これからも現場を監視しながら経過を注視していく。

おわり

川内原発視察(2)

現在、1・2号機ともに定期検査中ということになっている。九州電力は自主的に原子炉の燃料を一旦取り出し、機器の入念な点検や新規制基準への安全対策に取り組んでいという。まずは、発電所の概要説明や緊急安全対策の実施対策状況の説明を受けたあと、いよいよ現場視察となった。

作業着に着替え、ヘルメットを被り(もっと大きいサイズはないのか)、タービン建屋を通って中間建屋へ。敷地レベル+2メートル以下の全ては境界扉を水密扉へ取り替えてあったのが印象的。中間建屋には原子炉を制御する「中間制御室」があるいわば原発の頭脳部。緊急安全対策として、高圧発電機車による代替電源の確保、水を送る代替ポンプとして仮設ポンプの確保、隣接するみやま池からの代替水源の確保ができており、制御機能としては万全に感じた

いよいよ管理区域へ。さらに着替えて、靴を履き替え(28センチがあってよかった)、身体の放射線量を測定する機器を身につけ入念に事前検査を受ける。管理区域内で働いている九電や関連会社の従業員の人数がモニターで確認できたが、動いてないはずの1号機だけで約350人が同時に働いている。2号機を合わせると約700人が生産性の無い仕事をしていることになる。動いていても止まっていても掛かる人件費は変わらないということ

1号機の原子炉建屋に入り、静的触媒式水素結合装置や電気式水素燃料装置を確認した。次に燃料取扱建屋に入り、ホウ酸水に満たされた貯蔵プールの下に眠る使用済燃料目視することができた。このときは少し緊張を感じた。速やかに管理区域を脱出。身に付けた放射線測定装置はゼロのままで安心した

つづく

川内原発視察(1)

九州電力平成7月8日、原子力規制委員会に川内原子力発電所12号機に係る新規制基準への適合性確認を申請しその後、7月12日には玄海34号機についても同様の内容を申請している。

新規制基準に適合しているかどうか、再稼働させるかどうかは、原子力規制委員会の判断である。そして最終的には地元自治体に委ねるところではあるしかし、東京電力福島第一原子力発電所事故の経験と反省を踏まえて、九州電力管内で休眠状態の原発を再稼働させる準備が本当に整っているのかどうか、一度は自分の目で確認する必要があると考えていた。

参院選挙期間中ではあったが、エネルギー政策は自民党公約「総合政策集」でも重要な部分であり、適合性確認申請が提出された機会に九州電力川内(せんだい)原子力発電所を徹底的に視察することを決めた

7月16日朝、JR熊本駅から新幹線でJR川内駅へ。川内駅には副社長が迎えてくれた。車で移動すること約30分、東シナ海を望む広大な敷地(約145万平方メートルを有する川内原子力発電所に到着した。入口では写真入りの身分証明書と本人との照合が求められ。副社長とはいえ例外では本人確認は厳格であったがテロリスト等による強行突破に対しては警備員では対応できないだろうと感じた。

つづく