防衛研究所入所式

防衛研究所「 安全保障戦略課程」入所式が行われました。選抜された研修員の皆さん、入所おめでとうございます!

この度、長らく続けてきた教育内容を見直し、我が国の安全保障戦略に関する知識を総合的に修得させることを目的とした「安全保障戦略課程」を新たに発足させました。今回の37名の研修員は、その記念すべき第一期生となります!

研修員の構成として、防衛省の事務官や自衛官のみならず、公安調査庁、海上保安庁の職員や、民間会社の社員、更に、フランス、インド、インドネシア、モンゴル、韓国、タイ、アメリカからの留学生といった、多様かつ優秀な人材を迎えることができました。

国際社会は、戦後最大の試練の時を迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入していると認識しており、わが国を取り巻く安全保障環境も戦後最も厳しく複雑なものとなっています。

研修員の皆さんには、軍事分野のみならず、政治、経済、科学技術など幅広い視野をもって諸問題に取り組んでいただきたく思います。そして、それぞれの所属組織におけるリーダーに相応しく、バランスの取れた知識と判断力を身に付けてもらいたく思います。

特に留学生の皆さんには、この課程で学ぶことを母国で活かしていただくとともに、母国と我が国との友好関係をより一層深めるための架け橋となることを強く望みます。

防衛研究所の職員には、37名全ての研修員が最高の成果を得ることができるよう、最善のサポートをお願いしました。

トルコ共和国戦勝記念日

コルクット・ギュンゲン在日トルコ大使に招かれ、「トルコ共和国戦勝記念日レセプション」に出席しました。この記念日は、列強に分割占領されんとする国土を守るため、ケマル・アタチュルク率いる抵抗運動政権が祖国解放戦争を起こし、1922年8月30日のドゥムルプナルの戦いで決定的な勝利を収めた史実を祝う、トルコにとって大変重要な日との事です。

また、本年は「日本・トルコ国交樹立100周年」にあたる記念すべき年です。約130年前のエルトゥールル号遭難事件以降、両国は「助け合い」の精神をもって友好関係を深化させてきました。

本年6月、トルコ海軍コルベット艦「クナルアダ」が日本に寄港し、彬子女王殿下ご臨席のもと艦上レセプションが開催されました。また、今月は海上自衛隊の練習艦「かしま」と「しまかぜ」が、イスタンブールに寄港したところです。

このような艦艇の相互訪問をはじめとした防衛協力・交流は、日本とトルコの絆を強めるだけでなく、地域の平和と安定、更には「自由で開かれたインド太平洋」の実現に寄与するものです。

今後も、日本とトルコの更なる関係強化を期待しています。

パリ五輪出場自衛官を慰労

パリ2024オリンピックには、7名の現職自衛官が出場しました。激戦を終え、そこに辿り着くまでの計り知れない努力に対して深く敬意を表します。

今回のオリンピックでは、佐藤2等海曹が近代五種において、日本に初めてのメダルをもたらしました。また、高谷1等陸尉がレスリングにおいて、新添2等陸尉が柔道において、それぞれメダルを獲得してくれました。その他の選手も、一人ひとりが世界最高の舞台において全力を尽くすことで、日本国民に感動と勇気を届けてくれました。

また、体育学校長をはじめ、各競技の監督、コーチ、スタッフの皆さんが、選手が持てる力を存分に発揮できるようサポートしてくれたことも忘れてはなりません。

選手に対しては、このオリンピックから得た貴重な経験を、部隊等の錬成や精強性向上に活かしてもらうようお願いしました。

自衛官としての誇りを持って頑張った選手の皆さん、大変お疲れ様でした!それぞれの競技において、これからも活躍すること期待しています!

世界で一番美しい帆船

イタリア海軍の練習帆船「アメリゴ・ヴェスプッチ号」が東京国際クルーズターミナルに接岸しました。日本への初めての寄港を歓迎します。

1931年にイタリア王立海軍(当時)の練習艦として就役し、もうすぐ艦齢100年になります。軍艦としては世界最古の現役帆船です。

イタリアのクロセット国防大臣が船内を案内してくれました!

インド訪問2日目

ニューデリーにおいて第3回日印外務・防衛閣僚会合(「日印2プラス2」)を開催しました。日本側は上川陽子外務大臣と防衛大臣として私、インド側はラージナート・シン国防大臣及びスブラマニヤム・ジャイシャンカル外務大臣の四大臣による共催です。

また、「日印2プラス2」に先立ち、上川外務大臣とジャイシャンカル外務大臣の間で「日印外務相会談」を、私とシン国防大臣との間で「日印防衛相会談」を実施しました。

今回、重要な3つの会議で確認された内容を以下に記します。

①四大臣は、日印両国が基本的価値を共有する民主主義国家として、国連憲章の原則に基づくルールに基づく国際秩序を維持・強化すること並びに国家の主権と領土一体性の尊重及び武力による威嚇又は武力の行使に訴えることのない紛争の平和的な解決へのコミットメントを再確認するとともに、全ての国がいかなる一方的な現状変更の試みをも控えることの必要性を強調した。

②四大臣は、ルールに基づく国際秩序の一環としての、包摂的で、平和的で、繁栄し、強靱な自由で開かれたインド太平洋に向けた共通の戦略的目標を強調した。四大臣は、ASEANの一体性・中心性への強固な支持及び開放性、透明性、包摂性、ルールに基づく枠組み及び国際法の尊重といった原則を支持する「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」への全面的な支持を改めて表明した。

③四大臣は、共有するインド太平洋地域に焦点を当てた地域及び国際情勢について、率直かつ幅広い議論を行った。四大臣は、日米豪印における協力を評価し、そうした協力を、2024年7月29日の日米豪印外相会合における議論に基づいて一層推進することへのコミットメントを再確認した。

④四大臣は、2022年12月に策定された日本の「国家安全保障戦略」を踏まえ、二国間の安全保障・防衛協力を一層強化する可能性を歓迎し、そうした協力は「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の重要な柱であると認識した。

⑤四大臣は、日印防衛政策協議、日印外務次官対話及び日印外務次官級政務協議、日印軍縮・不拡散協議、日印サイバー協議、日印テロ対策協議、その他新興及び紛争問題に関する地域の協議など、日印間の重層的な対話の枠組みを通じて、分野横断的な安全保障の課題に関する協力を促進するための、2022年9月の前回会合以降の進展に満足をもって留意した。また、四大臣は、宇宙、海洋、アフリカなどの分野での対話にも期待を示した。さらに、二国間関係の戦略的な深みを踏まえ、四大臣は、経済安全保障及び戦略的貿易の分野での更なる協力のための詳細な対話を推進することで一致した。四大臣は、国連の強化の観点から、安保理改革に関する協力を継続することでも一致した。

⑥四大臣は、紛争の予防、救援及び復興活動の提供並びに永続的な平和の構築における女性の主導的な役割の重要性を強調し、女性・平和・安全保障(WPS)の進展並びに日本人及びインド人女性のPKOへの積極的な参加を歓迎した。

⑦四大臣は、戦略的パートナーシップを補完する人的交流を促進する取組を支持した。この観点から、福岡に領事館を新設するというインドの決定の意義を評価した。また、9月に日本で「インディア・マンス」を、インドで「ジャパン・マンス」をそれぞれ開催することを歓迎した。

⑧四大臣は、国境を越えたテロを含むあらゆる形態及び主張によるテロと暴力的過激主義を明確に非難し、11 月 26 日のムンバイ及びパタンコート襲撃を含むテロ攻撃の実行者を遅滞なく裁判にかけるよう求めた。四大臣は、アル・カーイダ、ISIS/ダーイシュ、ラシュカレ・タイバ(LeT)、ジャイシュ・エ・ムハンマド(JeM)を含む国連が指定する全てのテロ組織及びそれらの代理グループに対する協調行動を求め、テロリストの安全な逃避地を根絶し、テロリストの資金経路を排除し、テロリストの国境を越えた移動を阻止するために毅然とした対応を取るよう呼びかけた。

⑨四大臣は、2022年9月の前回会合以降の両国の各軍種間の防衛協力・交流における進展を評価した。四大臣は、日本の戦闘機の初の寄航及び印空軍主催の初の多国間共同演習である「タラン・シャクティ」への参加を歓迎した。また、四大臣は、2023年1月の航空自衛隊とインド空軍との間での二国間戦闘機共同訓練「ヴィーア・ガーディアン2023」の初開催及び2023年に初めて一年の間での全軍種の二国間共同演習の実施を歓迎した。さらに、四大臣は、宇宙及びサイバーの分野における二国間協力を深化させることで一致した。四大臣は、インド太平洋地域における多国間の防衛協力及び交流の重要性を再確認した。四大臣は、「ダルマ・ガーディアン」、JIMEX及び「マラバール」を含む二国間及び多国間共同訓練を継続することへのコミットメントを表明した。

⑩四大臣は、初の統合幕僚協議の実施を歓迎した。さらに四大臣は、陸上無人車両(UGV)及びロボティクスに関する協力が成功裏に完了したことを評価した。四大臣は、艦艇搭載用複合通信空中線「ユニコーン」及び関連技術の移転に向けた進展及び関連する文書の早期署名に向けて進捗があったことを評価した。四大臣は、第7回日印防衛装備・技術協力に関する事務レベル協議(JWG-DETC)について満足の意を表明した。四大臣は、防衛装備・技術分野における将来的な協力を加速させることで一致した。四大臣は、海上自衛隊及びインド海軍との間でインドにおける艦艇整備分野での将来的な協力について検討を進めていくことを歓迎した。さらに、四大臣は、インド太平洋地域の平和と安定のため、第三国に対する防衛・安全保障支援における連携・協力に向けた議論を追求することで一致した。

⑪四大臣は、現代の優先事項を反映し、現代の安全保障上の課題に対応すべく、2008年の「日本国とインドとの間の安全保障協力に関する共同宣言」を改定・更新する意図を共有した。

⑫四大臣は、年次首脳会談のためのナレンドラ・モディ首相による生産的な訪日に向けて貢献することで一致した。四大臣は、次回の閣僚級「2+2」を日本で開催することを決定した。