こどもの日に考えたこと

 

●民法第772

①     妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。

②     婚姻成立から200日後または婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

 

民法772条が問題になっています。

民法は明治時代に編纂された法律なので、現代社会に馴染まない部分もあることは確かです。これまでも適宜、法改正により加筆・修正・削除が行われてきました。今回も議論を尽くして法改正を考えることに異論はありません。

しかし、法改正は慎重に行わなければなりません。第772条で言えば、単に子どもがかわいそうだからという視点のみを強調することは、民法が予定する家族制度を崩壊させることになり、性道徳・家族道徳の低下を放任することになりかねません。また、DNA鑑定を法制度に持ち込むことは、法制度としての親子関係より生物学的な親子関係を優先させることであり、民法秩序のみならず社会秩序を崩壊させてしまう可能性もあります。

思うに、問題が生じた場合に限り、裁判手続きによって個別に対応することが望ましいと考えます。裁判所がDNA鑑定を判断材料として審判を行えばよいのです。裁判手続きが負担であるというのなら、裁判手続きの合理化を図ることを考えればよいことです。いうまでもなく、法秩序を無視して嫡出子の取扱いを私人間で勝手に行うことは法治国家としてあるまじき行為です。

したがって、このような問題について総合的に議論することなく、マスコミの論調に流されて、DNA鑑定至上主義により私人間で処理をしたり、安易に特例法を作ったりすることは、民法の根幹と日本の家族制度のあり方を覆してしまうことになり大変危険なことだと考えます。