医師不足が深刻化しています。特にへき地などでは、医師不足は生活に直結した重大な問題です。医師不足といっても、実は医師の数は毎年増加傾向にあり、全体的な数が減ったわけではありません。問題は、医師の数が地域で偏在していることにあります。地方では、入院患者の受け入れ中止や、診療休止などの問題が相次いで起こっています。
政府は今年5月に「緊急医師確保対策」をまとめました。現在はその詳細について議論を重ねています。例えば、「医師バンク」を設置し、国レベルの医師派遣システムを構築します。都道府県から要望があれば、登録している大学の医師や引退した勤務医を、臨時的に数ヶ月から一年間地方に派遣します。中期対策として、医師の地域への定着を図るために地方大学の医学部枠を拡大します。大都市に集中している研修医の定員を是正し、地方に割り振ります。さらに、地方で勤務する医師には奨学金の返還を免除するなど、若い医師が地域医療に携われるような制度造りを進めていきます。
また、医師の過重労働を解消しなければなりません。勤務医の交代制度の徹底を図り、事務作業員を増やすなどの勤務環境の見直しも進めています。