株式市場の停滞

●日本企業は、大手を中心に業績が回復していることは事実です。しかし、人件費の増加(給与アップ)までは踏み切れていないので、個人所得は上がっていません。また、中小零細企業までには届いていません。個人金融資産は、全体で1400兆円あるにもかかわらず、一般個人は豊かになったと感じることは少ないようです。なぜでしょうか。ひとつは、先行き不安。もうひとつは、株式の機能不全だと思います。

 今の日本市場では、「持ち合い」や「過度の買収防衛」など株式市場の機能を弱らせる行為が横行しています。外国人投資家は、こうした現状に疑問を持ち、日本市場への投資を控えました。その結果、日本の株価は実力以上に下がってしまったと分析しています。つまり、日本市場の低迷の要因は、明らかにガバナンス(統治)です。

 いつくかの打開策のひとつとして、公的年金をはじめ政府資産の運用改革を推進したいと考えています。現在の運用担当者(役人の天下り)は、リスクを極端に恐れます(評価の減点方式)。また人事異動で定期的に交代するので、消極的な運用(事なかれ主義)になってしまいます。インセンティブ(成功報酬)もないので当然でしょう。この際、プロの運用担当者を雇用します。そうすることによって、日本市場はダイナミックで規律がある市場であることを国内外に伝えることができるはずです。