昨年の二次補正提出は不可能

 挨拶まわりをしていて、もっとも多い質問は「景気対策が大切と言いながら、昨年、二次補正予算を提出し成立させなかったのは何故ですか?」というものです。テレビのコメンテーターもこぞって批判していました。提出しなかったのではなく、出来なかったという事実は、ほとんど報道されませんでしたので、国民が正しい理解ができていないのも当然です。

 仮に、二次補正予算を12月1日に提出していたとシュミレーションします。予算は衆議院の議決が優先されますから、議決後30日が経過すれば、参議院の議決にかかわらず自動的に成立します。従って、年内の成立は可能だったように思えます(予算委員会の審議をすっとばしての強行採決が条件)。

 しかし、予算には財源が必要です。この財源を担保する「予算関連法」を成立させるには衆参両院の議決が必要なのです。参議院で否決をすれば、衆議院での再議決が可能ですが、参議院で採決をしない場合には、60日経過してようやく否決したとみなされ、衆議院での再議決が可能になります(当然、再議決も強行採決になったでしょう)。つまり、12月1日に二次補正予算を提出し、直ちに衆議院で可決したとしてもが、再議決は最短で1月30日となります。昨年内の予算成立と執行は無理だったいうことになります。

 さらに、再議決の為に、臨時国会の会期を1月30日以降まで延長することが必要ですが、通常国会は毎年1月中に開催することが国会法で決まっているので、1月31日には必ず通常国会を開会しなければなりません。現実には衆議院の予算委員会での審議をとばすことはできないとなれば、成立は物理的に不可能となり二次補正予算案は廃案になっていたところでした。

 民主党をはじめ野党が、二次補正予算成立に全面協力するのであれば、成立は可能でした。しかし、「政策より政局」の民主党が全面協力してくれる可能性は限りなく無かったことは周知の事実です。この為、内閣は二次補正予算の12月提出を断念し、異例の1月5日に通常国会を召集し、早々に提出するしか選択肢はなかったのです。

 「みのる日記」を御覧の賢明な皆様には理解していただけたと思います。