郵政人事

 

「天下りは絶対に許せない!」と、いうつもりはありません。「余人を持って替え難い」ケースはあるでしょう。優秀な役人には退官後もその経験や頭脳を社会の為に役立ててほしい。しかし、許せないのは「公共事業を発注する条件として、公益法人や民間会社が、天下りを受け入れざるを得ない仕組み」です。役所の人事異動の一環として、半ば制度として天下りを強制的に活用している実態がありました。自民党政権時代には、良い意味の「再就職」と悪い意味の「天下り」が玉石混交していたのも事実です。官僚のいいなりになっている利益誘導型族議員が与野党ともにいました(今もいます)。渡辺喜美さんが『官民人材交流センター(通称:官僚人材バンク)』を作った趣旨は、悪い意味の「天下り」を根絶して、更に利益誘導型族議員を廃しようとしたものでした

その当時の民主党は、【天下り根絶原理主義】で、日銀の役員人事など国会の同意人事案件について、とにかく役人の再就職には全部反対でした。そして、民主党の「マニフェスト2009」には、「天下りを根絶します」、「天下り、渡りの斡旋を全面禁止する」と明記して選挙で大勝したのです。しかし、今回の郵政人事でこの選挙公約を完全に裏切りました

日本郵政社長に就任した斎藤次郎氏は、元大蔵次官。退官後、研究情報基金理事長や東京金融先物取引所社長を歴任。いずれも財務省の天下りポストです。副社長に就任した坂篤郎氏は、財務省OB。退官後、農林漁業金融公庫副総裁、内閣官房副長官補、損保協会副会長と財務省ポストを渡り鳥しています。もう一人の副社長の足立盛二郎氏は、総務省OB。退官後、簡易保険加入者協会理事長、NTTドコモ副社長と旧郵政省ポストを渡りました。

誰がどう見ても三人とも完全な天下り官僚。私は人事の内容そのものが悪いとは思いません。納得できないのは、選挙公約との整合性がないことです。都合のいい時だけ「マニフェストに書いてある」と金科玉条のようにいう資格はありませんね

 

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