友愛が通じない相手

 

報道によると、鳩山総理が電撃的に訪朝するかもしれないということ。政権交代以前から独自ルートで北朝鮮と極秘に接触を図ってきたことは永田町で言われていたことですが、一体これは何を意味しているのでしょうか?

 

「北朝鮮特定貨物の検査法案」は昨年の通常国会で廃案になりました。衆議院は通過したのですが、当時、民主党が多数の参議院で審議入りされないまま、衆議院会解散により廃案になったことは以前に紹介しました。

 

ところが、政権交代後の臨時国会で、ほぼ同じ内容の法案が政府提出法案として出てきました。しかし、変更点が二点あります。一つ目は、法案の名称。「貨物検査特別措置法案」となり、「北朝鮮」という名称を隠しました。二つ目は、第九条第二項の削除。これは、「海上自衛隊の措置」を規定した条項の削除です。

 

結果として、四日間しか会期延長をしなかったので成立断念。国連安保理の決議採択に主導的役割を示し、拉致問題や核・ミサイル問題を抱える北朝鮮に対し毅然とした態度を示すためにも、成立は急務であるのに何故?と思っていました。

 

そうです。「最初から成立させるつもりがなかった」のではないのか!!水面下で交渉中の北朝鮮への配慮があったと考えれば納得がいきます。北朝鮮は政権交代後の民主党との交渉を視野に、様々な情報(真偽は別)を提供していたのでしょう。

 

法治国家でもなく、偽物の遺骨を送りつける、無法者の独裁国家である北朝鮮。「対話と圧力」の「圧力」を強めることで、ようやくここまで追い込んできたのです。すんなりと話し合いに応ずる相手であれば、拉致被害者はとっくに全員帰って来ています。

 

訪朝することで、拉致・核・ミサイル問題が解決するなら即刻に行ってもらいたい。しかし、日米同盟がギクシャクしている中で、外交カードもなく、「友愛」外交がうまくいくとは思えません。あえて可能性を探せば、中国共産党高官とのルートでしょうか。

 

過去に名声を上げようとして失敗した大物議員がいます。今回も政権浮揚や選挙目当てだけの訪朝だとしたら止めてもらいたい。せめて、「北朝鮮特定貨物の検査法」を成立させ外交カードを持ってからでないと、とんでもない交換条件をのまされた上に事態が悪化することもあるということを警告しておきます。