本日、熊本県議会で全会一致で議決された意見書の全文です。
「尖閣諸島付近で起こった中国漁船の領海侵犯、海上保安庁巡視船への衝突事件の真相究明と国の毅然とした対応を求める意見書」
沖縄県・尖閣諸島周辺の我が国領海内で、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件で、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検された漁船の船長を、さる9月26日未明、那覇地検が処分保留で釈放するという由々しき事態が発生した。日本政府は、明治28年から一貫して、尖閣諸島を領有しており、沖縄県石垣市に属するとしている。沖縄県に編入以来、国際的にも日本の領土と認められ、かつお節の製造などが行われた経緯がある。このように、歴史的にも、国際法上も「尖閣諸島」が我が国固有の領土であることは明白である。このような中で、那覇地検が中国人船長を処分保留で釈放したことは、法の手続きを無視した事実上の超法規的措置といえる。釈放にあたり、那覇地検次席検事は記者会見で「我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮した」と説明したが、法に基づき事件を厳正に処理すべき検察当局が「外交上の配慮」を述べることは理解し難い。今回の那覇地検の決定は、何らかの政治的な判断によるものと考えられるが、政府は、あくまで地検の判断と強調している。しかしながら、地検の監督責任は政府にあり、政府は、この様な超法規的措置の決断を那覇地検が下すにいたった根拠を国民に説明する必要がある。また、今回の事件は中国漁船が故意に船体をぶつけたか否かが判断の一つとなったが、中国側からは日本側がぶつけたとの抗議も行われた。しかし、海上保安庁は、今回の逮捕に際して、中国船の一連の動きをビデオにおさめており、そのビデオを公開して、衝突事件の真実を国民に明らかにする必要がある。さらに、当該海域では、本年8月中旬には、最大270隻もの中国船籍らしき漁船が確認され、その内約70隻は我が国領海内に侵入しており、今後は、同海域で中国漁船の活動が更に活発化することが予想される。政府は、今までの外交、防衛の状況を見直し、第11管区海上保安部の監視・警備体制等の体制強化を図り、我が国の漁業者が安心して漁業活動が出来るよう、適切な措置をとる必要がある。よって、国においては、今回の事件の真相究明と釈放までに至る経緯等について国民に説明するとともに、今後は、中国政府に対して毅然として対応し、世界に間違ったメッセージを発することのないよう、下記の事項について強く要望する。
記
1 中国人船長を処分保留で釈放した那覇地検の対応の根拠を国民に説明すること。
2 中国船の逮捕に際しての映像を撮影したビデオを公開し、衝突事件の真実を国民並びに世界に明らかにすること。
3 政府は、尖閣諸島が我が国固有の領土であるとの観点から、中国政府に対して毅然として対応するとともに、ガス田などの我が国の天然資源や海洋資源が損なわれないよう適切な措置をとること。
また、今までの外交、防衛の状況を見直し、第11管区海上保安部の監視・警備体制等の体制強化を図り、我が国の漁業者が安心して漁業活動が出来るよう、適切な措置をとること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年9月28日
熊本県議会議長 小 杉 直
衆議院議長 横 路 孝 弘 様
参議院議長 西 岡 武 夫 様
内閣総理大臣 菅 直 人 様
外務大臣 前 原 誠 司 様
国土交通大臣 馬 淵 澄 夫 様
農林水産大臣 鹿 野 道 彦 様