地震による被害、津波による被害、これは天災です。
一方、原発による被害は人災ですが、人災は他にもあります。
「風評被害」です。
静岡のお茶や福島の野菜など風評被害が甚だしい。ひとたび「風評被害」を受けると、農家の経営は瀕死の状態に陥ります。
被災地から遠く離れた熊本県もついに「風評被害」を受けました。
現在発売されている「女性自身」という週刊誌ですが、この記事の内容が明らかに事実誤認です。
「『熊本産』豚肉からセシウム検出」
「全国の食卓へ」
JAS法では、飼養期間が最も長い場所を原産地表示します。
熊本県で解体し流通した豚肉で放射性セシウムが検出(6.6〜10.1ベクレル)されたものは、6月に購入した福島県産の豚15頭。
国の暫定基準値(500ベクレル)を大幅に下回っていましたが、安心のために出荷を取りやめています。
「『熊本産』豚肉からセシウム検出」 → 『福島県産』の間違い。
「全国の食卓へ」 → 基準値以下にもかかわらず流通させていない。
つまり、記事はまったくのデタラメでした。反論の余地はありません。
熊本県は県知事名で、発行元の光文社に訂正記事掲載を申し入れましたが、どうなるかわかりません。数週間後に、同じ読者がすべて訂正記事を読むとは限りません。
怒りを覚えます。
熊本県内の畜産農家や販売業者は、取り返しがつかない風評被害により厳しい環境に置かれます。
記者はスクープ記事を書いて発行部数を増やしたいのはわかりますが、東日本大震災に関することはもっと慎重になってほしい。
命をかけてギリギリのところで頑張っている、そんな人が大勢いることを忘れないでほしい。