捜査機関による容疑者の取り調べを録音・録画することを法制化しようと動きが加速しています。
これは、捜査機関による行き過ぎた捜査を抑制したり、冤罪を防ぐために後からチェックできるようにすることが目的です。
いわゆる「取り調べの可視化」で、日本弁護士会連合会が以前から導入を強く求めていました。
私は以前から関心を持ち、これまでに複数の弁護士や司法警察職員にヒアリングを行い、裁判・犯罪・心理学の関係資料を読み、また、過去の冤罪事件を検証していました。
結果、賛成・反対双方の言い分は理解したものの、現時点では全面可視化法案については慎重に対応すべきとの結論に致ってます。
その理由をごく簡単に説明すると、捜査官の立場から、
- 取り調べの手の内を明かすことになり、悪質な犯罪者が優位に立つ。
- 取り調べのミスを恐れ萎縮してしまう。
- 記録できない環境では取り調べができず、捜査に物理的な支障をきたす。
- 「全面」となると、設備費・人件費など膨大な予算が必要。
対して、被疑者の立場からは、
- 取り調べ中に発言したプライバシーに関することも記録される。
- 記録が裁判資料になれば、一般人やマスコミに公開される。
- 公開された情報は回収できない。
- 共謀者の恨みや制裁を恐れて萎縮してしまう。
まだまだ検討すべき事項を多く、早急な法制化については慎重に願いたいと思います。
【写真】今年も各地域の敬老会にお邪魔しました!