寄稿『郷友熊本』平成24年夏号

私が大変信頼申し上げていた大先輩が亡くなられました。

 

故・中村達雄様が会長を務めておられた熊本県郷友会の機関紙『郷友熊本』に私が寄稿した挨拶文を掲載します。合掌

 

 

会員の皆様におかれましては、益々ご健勝でお過ごしのことと思います。日頃の活動に敬意を表しますとともに、私の政治活動に対するご理解に感謝申し上げます。

最近、私が想いを馳せるのは沖縄と台湾のことです。沖縄について、米軍普天間飛行場の辺野古移転は選択の余地はないとの結論に至っています。しかし、なぜ沖縄県民がこれ程までの抵抗を見せるのでしょうか。また台湾からは東日本大震災への義捐金として世界一の金額となる約三百億円が送られてきました。我が国と台湾とは公式な国交が無いにもかかわらずです。

自民党は本年の主権回復記念日(四月二十八日)に「日本国憲法改正草案」を公表しました。ご承知の通り、一九五二年四月二十八日にサンフランシスコ講和条約が発効したことで日本は主権を回復するのですが、同時に沖縄を切り離すことになりました。沖縄県民にとって見れば、「日本国政府に見捨てられた」という感情があったに違いありません。沖縄の日本返還は二〇年後の一九七二年まで待つことになります。

そして、同じく一九七二年の「日中共同声明」によって、我が国と中華人民共和国(中国)とは国交正常化するのですが、同時に我が国は中華民国(台湾)との国交を断絶します。台湾国民も「日本国政府に見捨てられた」という感情があったに違いありません。

現在、我が国の最大の脅威は中国です。中国の脅威に対抗するべく米軍基地は沖縄本土になくてはなりません。沖縄県民の理解を得るためには、すべての日本人がこれまでの「沖縄は国土防衛の最前線」という感覚から「沖縄を背にして日本を護る」という感覚に切り替えねばならないと思います。また親日的な民主主義国である台湾とも国交を超えた民間交流を深め、日台関係の絆を維持するべきでしょう。

最近、天皇・皇后両陛下が御自身の葬儀の簡素化のため、「土葬」から「火葬」、そして「合葬」を望んでおられ、この御意向を受けて宮内庁が検討を始めたというニュースを読みました。私の頭に浮かんだのは、天武・持統両天皇の「合葬陵」です。持統天皇が天武天皇陵に合葬されることを望んだのは、葬儀の簡素化というより天武帝を慕う気持ちからと思われます。

しかし、両陛下が合葬を望まれるのは、「国民生活への影響を極力少なくしたい」との御配慮であります。また、宮中での節電にも御配慮されているとお聞きしました。国民生活への影響に思いやられる御配慮に、ただただ畏れ多い気持ちです。

暑い時期が続きます。会員のなかにも「節電」の協力をしていただいている方々も多いかと存じます。御身体ご自愛のうえ、健康に留意されて猛暑をお過ごしになることを祈ります。