国民の信頼を得た自衛隊

卒業式のシーズンですね。

昭和32年の防衛大学校第1回卒業式で吉田茂総理大臣が卒業生に訓示しましたが、その内容の一部を紹介します。

「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい。」

一方、内閣府が本日発表した「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」で、自衛隊に好印象を持つ回答が92.2%に達し、昭和44年の調査開始以来、過去最高となりました。東日本大震災での献身的な救援活動などで、存在が改めて評価された前回調査(平成24年1月)の91.7%をさらに上回ったことになります。

どう理解すれば良いのでしょうか。

日陰者と言われた不遇の時代を乗り越えて、防衛省・自衛隊が国民から信頼される組織になったことは心から喜ばしいことです。しかし、吉田茂総理の言葉を借りて言えば、現在の日本は国民が困窮し国家が混乱に直面してしまったことになります。喜んでばかりはいられず複雑な思いも交錯します。

戦後70年の今年、自衛隊の活動が更に適正に評価されるためには、まず憲法改正によって自衛隊の位置付けを明確化しなければなりません。