第26回新型コロナウイルス感染症対策本部

会議自体はマスコミクローズドですが、会議の最後にマスコミ(記者やテレビカメラ)を部屋に入れて、安倍総理(本部長)から『取りまとめ』の発表をするのが通例となります。今回、初めて《緊急事態宣言》に関する言及がありました。また、明日閣議決定を予定している《緊急経済対策》の一部にも言及がありました。

以下、安倍総理(本部長)発言の全文となります。

[本日、諮問委員会の尾身会長より、新型コロナウイルス感染症の感染者が、都市部を中心に急増し、医療現場は既に危機的な状況となっているとの見解を伺いました。

●そのため、明日にも諮問委員会の専門家の皆様の御意見を改めて伺った上で、基本的対処方針の改定を行い《緊急事態宣言》の発出を行いたいと考えています。
◎対象地域は、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県とし、1か月程度の期間を目安とします。

最終的に発出の段階において、記者会見を開いて、私から国民の皆様に、措置の内容や、どういうご協力をお願いするのか、丁寧にご説明をいたします。

●同時に、先般とりまとめを指示した《緊急経済対策》を補正予算とともに、明日、決定いたします。国民の命と生活を守り抜く。これが、この対策の最大の目的です。

◎今は、さらなる事態の悪化も想定し、感染拡大の防止、医療提供体制の整備に最優先で取り組まなければなりません。これが、第一の柱です。
○感染拡大の防止に向け、PCR検査体制の1日2万件への倍増や、保健所の体制強化により、クラスター対策を抜本的に強化します。
○そして、感染者の急増に備え、重症者対策を中心とした医療提供体制の整備を急ぎます。最も重要な病床の確保については、現在、2万8千床の病床を、5万床まで増加させます。
○重症者の治療に必要となる人工呼吸器についても、1万5千台を確保するとともに、さらなる増産を行います。
○また、今後患者が増加した場合には、軽症者は自宅で療養することを原則とし、その際、家族内で感染のおそれがある場合には、別途、滞在できる施設を確保します。
○そのため、民間ホテルの借上げに加え、東京オリンピック・パラリンピック大会のために準備した、警察派遣部隊用のプレハブ施設を緊急改修し、滞在施設として活用します。
○最優先の課題と位置付けた、治療薬・ワクチン等の研究開発も一気に加速させます。同時に、効果が見込まれる治療薬アビガンを増産し、現在70万人分の国内備蓄を200万人分まで増加させることで万全の備えを行います。

◎事業者の方々に対しては、この難局を何としても乗り切っていただくため、質・量ともに支援を大幅に強化いたします。
○日本公庫等における実質無利子・無担保の融資制度について、融資枠を大幅に拡充するとともに、既往債務についても、この無利子貸付への借換を認め、貸付条件を大幅に改善いたします。さらに、身近な地方銀行、信金・信組などでも同一条件で融資を受けられるよういたします。これまでにない強力な資金繰り支援で、事業の継続を強力に後押しします。
○さらに、本邦初となる、税や社会保険料の大胆な猶予制度を設け、総額26兆円の税・社会保険料負担を無担保、延滞税なしで猶予いたします。
○これに加え、甚大な影響を受けて収入が激減し、生活に困難をきたしているご家庭を中心に、集中的に30万円の思い切った給付を行うことに加え、極めて厳しい状況にある中堅・中小企業に200万円、個人事業者に100万円の過去に例のない現金給付を行うこととしました。あわせて6兆円を上回る現金給付で、事業の継続と生活の維持を強力に支援いたします。
○さらに、今回の対策には、感染が抑制された段階を見据え、前例のない大胆な需要喚起策も盛り込みました。特に、今回の感染拡大により大幅に落ち込んだ観光・運輸・飲食・イベントについて、割引・クーポン券等による思い切った支援策を短期集中で展開します。

これらを含む緊急経済対策の規模は、過去最大の108兆円となります。GDPの2割という規模は、諸外国と比較しても相当思い切ったものとなります。補正予算の速やかな成立と、対策に盛り込まれた施策の速やかな実行に向けて、各大臣におかれては、全力を挙げていただきますようお願いいたします。]

※写真:補佐官室でマスクをして作業する様子