今年の漢字一文字は【転】

《禍“転”じて福と為す》ここ数年「コロナ禍」で、世界経済は新型コロナ感染症に苦しめられてきましたが、5月に5類感染症に引き下げられ、行動制限や入国制限などの規制も撤廃されました。これによって人流が回復し、「リベンジ消費」が経済を活性化。外食や宴会など人々の生活が日常に戻り、夜の繁華街もかつての賑わいが復活、観光地は「オーバーツーリズム」と言われるほど外国人を含む多くの観光客で一気に溢れました。企業実績も全国的にはV字回復基調。例えば、地元の熊本県では半導体の製造拠点としての工場建設により、将来を見据えた設備投資が実行されています。結果として、春闘における賃金の上げ幅は30年ぶりの高さとなり、日経平均株価の大納会終値は3万3,464円で、年間上げ幅はバブル期以来の大きさとなりました。円安や物価高等のマイナス要素はあるものの、わが国の景気は着実に立ち直っていると評価されています。

《防衛装備移“転”三原則等を改正》12月22日、「防衛装備移転三原則」及び「防衛装備移転三原則の運用指針」を改正しました。防衛装備品の海外移転は、特にインド太平洋地域における平和と安定のために、力による一方的な現状変更を抑止し、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出等を進めるための重要な政策的手段です。私は防衛大臣に着任する直前まで、「与党ワーキングチーム」で改正の議論に加わってきました。その後、合意された提言内容を踏まえて、第1弾として見直したところです。今後、個別の案件については、その重要性に応じて、国家安全保障会議で特に慎重に審議を行います。「与党ワーキングチーム」では年明け早々にも第2弾に向けた会議が行われる予定との事です。

今年の日米関係

「国家安全保障戦略」など新たな戦略の策定という重要な決定を行ってから1年が経過しました。その間、日米両国は一丸となって同盟の抑止力・対処力の強化に取り組めたと評価します。

オースティン国防長官との会談を継続的に実施しながら、例えば、以下のように多くの目に見える成果を築き上げました。

・トマホークの早期取得

・拡大抑止に関する協議の強化

・BIAC(日米共同情報分析組織)を通じたISR能力の強化

・GPI(滑空段階迎撃用誘導弾)共同開発の開始

・北朝鮮ミサイル情報の日米韓リアルタイム共有の運用開始

一方で、先月の米空軍オスプレイの痛ましい事故もありました。改めて、搭乗員やご家族に心からお悔やみを申し上げます。

政府として、飛行の安全が確認されてから、運用を再開することを要請しているところであり、引き続き、航空機運用における安全確保に日米で全力を尽くします。

かつてなく強固な日米同盟を更に高みに引き上げるべく、来年も同盟強化のための具体的な取組を進めていくことを、防衛省大臣室においてエマニュエル大使をはじめ、グリーン主席公使やナイリン政務担当公使と確認しました。

令和6年度予算案が閣議決定

「省議」及び「防衛力抜本的強化実現推進本部会議(座長:防衛大臣)」を開催し、本日の閣議で決定した令和6年度の防衛省予算案を共有しました。

過去最大となる約7.9兆円の予算案については、来年1月に開会する通常国会に向けて丁寧に説明していくことや、予算成立後には的確に、そして速やかに執行することを指示したところです。

これからも全省が一丸となって、防衛力の抜本的強化に必要な取組を前に進めていきます。

オンライン防衛相会談

米国の国防省(オースティン国防長官)が主催するオンライン防衛相会議に参加しました。

議題は「紅海の海洋安全保障について」です。紅海をはじめとするアラビア半島周辺海域の情勢及び各国の取組について、20カ国以上の間で情報が共有されたところです。

私からは、中東地域のシーレーンの安定的な利用を確保し、国際社会の平和と安定のため、関係各国と引き続き緊密に協力していく旨を述べました。

防衛省・自衛隊は、これからも海洋安全保障及び国際社会の平和と安定のため、米国及び同志国と連携して対応していきます。

呉地区を視察

①まず、海上自衛隊呉地方隊の司令部がある呉地方総監部を視察しました。呉地方隊は、帝国海軍呉鎮守府の良き伝統を受け継ぎつつ昭和29年に創設されました。警備区域は、和歌山県から宮崎県に至る区域の太平洋及び瀬戸内海を含む沿岸海域であり、海上交通の動脈である東の紀伊水道、西の豊後水道及び四国沖となります。ちなみに、四国沖約1,800kmにある「沖ノ鳥島」も警備区になります。

②次に、海上自衛隊の潜水艦等の要員養成及び潜水艦に対する訓練支援等を行う潜水艦教育訓練隊(潜水艦隊直轄部隊)を視察しました。海上自衛隊潜水艦乗りの特色は、個人の高い術科能力とともに各個人の優れた人格を結集したチームワークによる総合力の発揮にあります。

③最後に、そうりゅう型潜水艦の1番艦である潜水艦「そうりゅう」に搭乗視察。厳しい勤務に従事する潜水艦乗組員の実態を把握しました。