払えば済む問題ではない

 

鳩山総理が自身の「脱税問題」について釈明の会見をしました。そして後日、6億円を納税したと発表しました。これで一件落着することは出来ません。問題は「脱税」行為とその「意識」です。言うまでもなく納税は国民の義務。鳩山総理の納税に対する無知ぶり、無関心ぶりには驚かされます。「知っていた」場合は脱税の犯罪者。「知らなかった」としても政治家としての適性に欠けています。率直に言って日本財政の舵取りをするリーダーとして全くふさわしくないと思います。

世間は苦しい経済状況です。国民の血税を預かって国家予算の分配をする内閣の責任者が、母親から12億円をもらっていて「知らなかった」で通るのでしょうか。検察が事実を指摘したから支払ったのです。このまま総理が許されるならば「バレるまで払わない」「バレてから払う」人が増えていくでしょう。世間に取り返しのつかない悪い前例を作ってしまいました。

この問題はさらに続きます。母親からもらった偽装献金にもかかわらず、その一部(4年間で106名)は「所得税寄付金控除」の証明書が発行されています。証明書をもらった人が所得控除を受けて、所得税の還付金をもらっていれば明らかに脱税です。脱税の連鎖が発覚することでしょう。政府や与党幹事長の圧力に屈せず、検察やマルサが追及しきれるかどうか。

また、12億円の使途についても問題があります。政治資金規正法には「1千万を超える額を個人が寄附できない」という規定がある通り、母親からの贈与とはいえ、政治活動については4年間で4千万円しか使えないのです。総理は残りの11億円以上は政治活動に使っていないことを証明する責任があります。

金持ちでなければ政治家になれない時代は終わりました。志があれば誰でも政治家になれる。その為に政治資金規正法があります。世襲制限もその議論のひとつでした。「身内のカネは汚いカネではないのでいくらでも政治に使ってもよい」とする論理は既に成り立ちません。

【写真】酪農家を年末の挨拶まわり。エサの時間だった牛にもご挨拶。