日米安保50年に思う

平成22年1月19日は日米安全保障条約署名50周年記念日です。私はこれまで、我が国の独立ならびに地域の平和と安定に資することを目的とした日米同盟を重視してきました。日米合意は日本国と米国の政府間合意であり、たとえ政権が交代しても、その効力が失われるものではありません。

 

ところが、普天間飛行場の移設問題をきっかけに日米安保が重大な局面を迎えようとしています。鳩山政権は5月まですべてを先送りすることを決めました(昨年1215日)。これは、日米同盟関係よりも、連立相手の社民党の意向と「沖縄での選挙演説での約束」を尊重したからに他なりません。そもそも、民主党のマニフェストには安保政策がありませんでした。また、閣議は全会一致ですので、意見の違いのある三党連立政権では結論の出しようがありません。

 

「日米合意は重い」との総理の発言を待つまでもなく、誠実にその履行を行うべきであり、これを国内の連立政権内の事情で先送りするとの行為は、まさに政権を優先し、国益を大きく損なうものです。もし鳩山総理がそのような決断をするとすれば、およそ国家のリーダーとしての資質を疑わせる常軌を逸する決断と言わざるを得ません。

 

政府が第一になすべきことは、一刻の猶予も許されない普天間地域の危険性除去です。そのためには、遅くとも昨年内の政府方針の決定が不可欠でした。平成26年に移設完了することは国家間の約束(条約)であり、平成22年内に着工しなければ間に合わないからです。

 

今月の名護市長選挙や、秋の沖縄県知事選挙など、事実上、地方選挙に安全保障上の問題を委ねることとなる姿勢は、政府として実に無責任だと思います。負担軽減も、地元の混乱収拾も、全て政府の無責任と機能不全によって先送りされれば、最も痛みを受けるのは沖縄県民であることを政府は深く認識すべきでしょう。

鳩山総理は、米国オバマ大統領との会談で「トラスト・ミー(私を信じてくれ)」と発言したとされます。普天間飛行場移設に関するたび重なる総理及び閣僚の発言のブレにより、鳩山政権に対する米国の不安といら立ちが高まっています。日米安保50年の共同声明の表面上の内容とは別に日米同盟は危機的な状況になったと申し上げておきます。