ゆがんだ政治主導

これまで、福島第一原発1号機の炉心を冷やす海水の注入を菅首相の指示で一時中断したとされていました。

しかし、実際は現場の所長が、事態の悪化を防ぐため必要と判断して、注入を継続していたことがわかりました。

東電の情報隠蔽体質には問題がありますが、結果として注入を継続したことは正しかったことになります。

そもそも、事故対応は現場の所長の権限です。海水注入を中断することで原子炉の圧力や温度が急上昇する恐れがある中で、注水を継続したことは、科学的に見て妥当な判断だったと思います。

菅首相は「原子力に詳しい」と自負し、「政治主導」に固執し、自分で判断を下そうとしました。東電本店は「政治主導」に固執する民主党政権に配慮し、「首相の了解が得られていない」ので現場に注入中断を指示しました。

現場の所長が勇気をもって反旗をひるがえしたことで、日本の原発が最悪の事態に陥ることから救われたのかも知れません。

政治主導は大事です。しかし、その前提として、首相と国民、政治家と官僚、省庁と業界、それぞれの「信頼関係」が構築されていることが重要です。

口先だけの専門家である政治家が、いくら「政治主導」と吹聴しても、緊急事態では誰も命令に従わないでしょう。

政治家は、大局的な見地で、情報を収集し、現場を信頼し、適切な指示を出して、最後は責任をとる、それが仕事です。

菅首相のように大事な案件を丸投げしたり、官僚や東電を怒鳴りつけることは、決して政治主導ではないと申しておきます。

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