平成13年、刑法の一部が改正され危険運転致死傷罪が新設されました。死傷事犯を過失(不注意)による犯罪ではなく、故意に危険運転をして人を死傷させた故意犯ととらえ、暴行による傷害・傷害致死に準じた重大な犯罪として厳しく処罰することとし、それによって交通の安全を図り、悲惨な被害者を少しでも減少させようとするものです。死傷事故を起こした場合で、死亡事故で1年以上20年以下の有期懲役、負傷事故で15年以下の懲役が科せられることになっています。危険運転致死傷罪の新設と相まって、危険な交通違反に対する厳罰化や点数制度の改正も行われました。特に飲酒運転に対しては1回目の取り消しであっても、5年の欠格期間が指定されています。
法の施行後、飲酒運転による事故は、毎年減少傾向にありましたが、今年になって再び増加傾向に転じているようです。『喉元過ぎれば熱さ忘れる』といったところでしょうか。日本各地で熊本でも飲酒運転による事故が多発している中で、政治や行政の今後の対応が問われるところです。
どんなに刑罰を厳しくしたところで犯罪が減らないのは、倫理・道徳・常識の欠如が根本的な原因だと思います。米国のようになること(自分の身は自分で守り、自己責任が大原則の銃社会・訴訟大国)を日本は目指すべきではありません。行き着くところは、すべてが『教育の見直し』に集約されます。子どもの頃から、家庭で学校で地域で「命の大切さ」「他人を思いやる気持ち」「公の精神」を一番最初に教えていくことが大切であるし必要であると考えます。