国による権限代行制度

迅速な災害復旧工事を実施する必要性が高いインフラ(橋・道路・河川の補修)に対して、工事に高度な技術等が必要となるが、実施体制や技術上の制約等により都道府県でこれらの工事を的確に実施できない場合に、国土交通大臣が代わって実施できる制度です。

熊本県南部の水害では、球磨川に架かる橋梁10本が流失するなど道路への被害が100キロもの広範囲に及んでいます。これらを対象に、国道219号のほか熊本県道等について、国が災害復旧事業を代行すること《国による権限代行》を決めました。

いまだ行方の分からない方々がおられます。避難所では、現在も2,000人を超える方々が不安で困難な日々を過ごしておられます。引き続き、捜索活動やライフラインの復旧に全力を挙げるとともに、住まいの確保など被災者の皆様へのきめ細やかな支援にもしっかりと取り組みます。

また、被災地の応急復旧に加え被災者の生活の再建や、被災された多くの中小・小規模事業者、農林漁業者などの生業(なりわい)再建に向けた歩みを後押しします。来週、《生活と生業の再建に向けた対策パッケージ》を取りまとめます。

これからも被災者に寄り添い、被災者が希望を持って前を向いて再建に取り組めるよう、そして、《被災自治体が財政的に心配することなく》、安心して復旧・復興に取り組めるよう、復旧・復興に全力を尽くすことを約束します。

[写真]避難所を訪問して被災者を励ます安倍総理(令和2年7月13日・人吉市)

太平洋島嶼国協力推進会議

私が議長を務める「太平洋島嶼国協力推進会議」を開催し、来年の総理主催『第9回太平洋・島サミット(通称:PALM9)』に向けて何をすべきか、何ができるのか、各府省庁の検討状況を聴取しました。

これまでに太平洋島嶼国地域の各国代表と意見交換したところでは、この地域が直面する課題としては、保健・気候変動・強靱なインフラ・教育・人的交流の促進・海洋保安・漁業など、日本と協力できる分野は極めて多岐に亘ると実感しています。

新型のコロナウイルスの世界的拡大や、それに伴う厳格な移動制限等もあり、観光業を主要産業とする太平洋島嶼国が経済的にも大きな打撃を受けている中、自由で開かれたインド太平洋の要であるこの地域を日本として力強く支えていくことは、安全保障の観点からも一層重要性を増していると考えています。

広域的な被害状況

今週末も故郷・熊本へ。

『令和2年7月豪雨』による被害は、人吉市や球磨村を中心とした《県南部》に注目が集まっています。確かに、被災された方や亡くなった方の人数も県南部に集中しています。

一方で、あまり話題に取り上げられませんが《県北部》の山鹿市や荒尾市、《天草地域》の牛深市、《阿蘇地域》の小国町などにも被害があったとの情報を得ました。熊本県内は広域的な被害状況と言えます。

県北部へ足を運び、鹿本管内を視察。山腹斜面が豪雨により崩壊し、土砂が下流の水田等の農地や市道等へ流出してる箇所が多数確認されました。県北部、特に山間地域の被災状況の全体把握はこれからとのこと。

熊本県全域の被害状況把握に努めます。

各国大使との会談

コロナ禍における水際対策により海外出張が制限されている中で、各国駐日大使との意見交換は大変有意義な外交ツールとなっています。

在外公館を通じて政府高官と電話で会談するのも良いのですが、電話で相手の本音を引き出す事は容易ではありません。むしろ予定時間より早く終わってしまい盛り上がりに欠けることもしばしば…。

やはり外交は直接会って話すことが大事だとあらためて感じているところです。

※写真撮影の時だけマスクを外しています。

令和2年7月16日《イギリス》写真・上
左:ポール・マデン駐日英国特命全権大使
右:サイモン・ステイリー国防武官/海軍大佐

令和2年7月17日《ドイツ》写真・下
左: イナ・レーペル駐日ドイツ大使

安倍総理が熊本豪雨被災地を訪問

安倍総理とともに熊本県球磨村と人吉市の被災現場を訪問しました。球磨村では最初に14名が亡くなられた特別養護老人ホーム「千寿園」で黙禱を捧げ故人の冥福を祈りました。

人吉市では2箇所の避難所を激励。新型コロナウイルス感染症対策として、体温の測定や避難者同士の間隔の確保、パーティションの利用など、避難者の健康を守るための工夫がなされている事が確認できました。

熊本県知事はじめ被災自治体首長からの要望によると、まず、住民の日常生活の再建は待ったなしです。仮設住宅の建設をはじめ、通学の支援や廃棄物の処理など早急に手を打たねばなりません。そして、大きな被害を受けた農林業者や中小・小規模事業者が事業再開への気力を失いわない為の施策が必要です。

総理は官邸に戻るとすぐに『令和2年7月豪雨非常災害対策本部会議』を開催し、予備費や災害復旧の為の予算を合わせて約4,000億円の財源を活用し《被災者の生活となりわいの再建に向けた対策パッケージ》を月内に取りまとめるよう指示を出しました。

さらに、被災者の権利を守り、生活再建に向けた取り組みを後押しするため、明日の閣議で今般の災害を《特定非常災害》に指定すると宣言。これにより自動車運転免許の更新ができない方の有効期間の延長や、被災地に生じる様々な法律問題を無料で相談できる制度を適用できるようになります。

私は熊本に残り、瓦礫の処理に汗を流す自衛官を激励。写真は、福岡県春日市に所在する福岡駐屯地から災害派遣された第19普通科連隊の皆さんです。ありがとうございます!