奄美駐屯地を視察

今から約10年前(2013年)に防衛大臣政務官に着任した際、南西地域は陸上自衛隊の空白地帯と言われていました。その後、沿岸監視部隊や警備部隊の新編を始めとする南西地域の部隊態勢の強化を掲げ、2016年に与那国駐屯地、2019年に宮古島駐屯地と奄美駐屯地、2023年に石垣駐屯地を開設するなど着実に部隊配備を進めてきました。

引き続き、第15旅団の「師団」化や与那国駐屯地への地対空誘導弾部隊の配備など、南西地域の防衛体制強化の取組を進めていきます。

なぜ今、南西地域の防衛体制強化が必要なのか。現在、南西地域では中国の艦艇や航空機の活発な活動がみられます。こうした状況においては、我が国の防衛体制を目に見える形で示し、力による一方的な現状変更を許容しないとの我が国の揺るぎない意思を示すことが重要です。そして、こうした防衛力の強化は、我が国への武力攻撃の可能性を一層低下させる抑止力にもなると考えます。

同時に、防衛省・自衛隊には、災害発生時の人命救助や生活支援を効果的に行うことが期待されています。本日視察した奄美警備隊は、奄美市と大規模災害発災時の対応について、今月4日に新たに協定を結びました。平素からの自治体との連携が、防災・減災のために最も重要な取組の1つであると確信しています。

奄美大島には陸・海・空自衛隊が所在します。拠点がある奄美市や瀬戸内町には、自衛隊の活動に多大なる御理解と御協力をいただいてきました。心より感謝致します。引き続き、防災訓練を始めとする様々な取組を通じ、災害時には地方自治体をはじめ警察機関等と連携して対応して参ります。

不適切事案に係る隊員へのメッセージ

本日、防衛省における特定秘密に関する事案、海上自衛隊における不正な手当の受給や不正喫食といった服務事案、そして、内部部局幹部職員によるパワー・ハラスメント事案について、公表するとともに、関係者に対する処分を行いました。

また現在、潜水艦修理契約に関し、隊員の規律違反や、契約の適正性に対する疑いが生じており、特別防衛監察を実施しています。早急に調査を進め、判明した事実関係に基づき、厳正に対処します。

「信なくば立たず」

という言葉があります。防衛省・自衛隊の活動は、国民の信頼あってのものです。多くの隊員の皆さんや、その先輩方によるこれまでの真摯な仕事振りを通じて、防衛省・自衛隊の国民からの信頼は積み上がってきました。その結果、国民の9割が自衛隊を信頼している、とも言われています。しかしながら、一部の隊員による、これら一連の事案によって、その信頼を裏切るものとなってしまいました。

今回公表した事案の性質は多岐にわたっていますが、根源的には共通する部分もあります。私はこの機会に、皆さんに問いかけたいと思います。

「あなたは、守るべきルールを正しく理解していますか。わかっているつもりではありませんか」

「また、周りの雰囲気に流されて、悪いとわかっていながら、これぐらいは大丈夫だろうと思ってはいませんか」

「または、問題が起こっている現場を見て見ぬ振りをしてはいませんか」

「そういった自分自身の振る舞いを、あなたの家族や愛する人に誇ることはできますか」

防衛省・自衛隊は人の組織であり、隊員一人ひとりの高い使命感がなければ、国防という、崇高で困難な任務を全うすることはできません。

我々は、立場や任務はそれぞれ違いますが、みな等しく、「防衛省・自衛隊」という大きな看板を背負っています。今一度、我々一人ひとりの行動が正しいか、そして、働きやすい職場環境となっているか、そういったことに思いを致し、国民の信頼を取り戻すため、全力で取り組んでいきましょう。

昨年9月に防衛大臣に就任した際、私は皆さんに、これから積極的に現場に足を運び、皆さん隊員の要望を真摯に受け止め、そして改革していくことをお約束しました。

実際に様々な基地や駐屯地を訪れ、厳しい環境で働く皆さんと直接接し、皆さんの真剣な眼差し、そして、任務に臨む真摯なその姿を見て、厳しい現場で働く隊員こそが自衛隊の、そして日本国の宝であると確信をいたしました。

私は、いかなる時も皆さん隊員と共にあり続けます。今回の事案を私も一緒になって真剣に受け止め、そして私は先頭に立って、信頼回復に取り組んでいく覚悟です。どうか皆さんにおかれても、改めて気を引き締め、共に職務に当たっていきましょう。

令和6年7月12日 

防衛大臣 木原 稔

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日・比「2+2」とRAA

日本・フィリピン「2+2」(外務・防衛大臣会談)を開催するため、上川陽子外務大臣とマニラを訪問しました。

ホストを務めていただいたフィリピン側のテオドロ国防大臣、マナロ外務大臣の温かいホスピタリティに感謝します。

また、日本・フィリピン円滑化協定(RAA)の署名という歴史的な機会にも立ち会いました。この協定により自衛隊とフィリピン軍の協力・交流がさらに活発化することになります。

我々を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、インド太平洋地域の平和と安定を維持していくために、フィリピンの様な同志国との連携を具体的に示すことは極めて重要です。

これまで、日本とフィリピンの両国は、共同訓練、海自艦艇による寄港、能力構築支援など防衛当局間の協力を積み重ねてきました。さらに、2基の日本製警戒管制レーダーがフィリピンに納入されるなど、防衛装備・技術協力についても目覚ましく進展しています。

日本とフィリピンは二国間にとどまらず、多国間においても、本年5月のハワイでの「日米豪比防衛相会談」に加え、4月には日米豪比、6月には日米加比の4か国間で海上協同活動として共同訓練を実施するなど防衛協力が密に行われてきました。

本日の成果も踏まえ、これからも「自由で開かれたインド太平洋」の実現のため、連携を更に強化していく決意です。

礼文分屯地・稚内地区を視察

陸上自衛隊礼文分屯地を視察しました。ここでは「最北の自衛隊」として、主に宗谷海峡を航行する多くのロシア艦艇等を監視・情報収集しています。

ロシアは我が国固有の領土である北方領土を不法占拠し、今なおウクライナ侵略を続けています。また、近年では中国との共同航行も確認される等、軍事活動が活発化しています。

稚内に移動して、稚内分屯基地を視察しました。この地域は国境警備の要として、明治の時代から旧海軍の施設が設置されていました。終戦後の一時期には米国陸軍も駐留していた地区です。

現在、稚内分屯基地には陸・海・空自衛隊の各部隊が所在しており、基地としての重要性は増しています。ロシアの活発な軍事活動に加えて、北朝鮮は北海道周辺を含めた我が国EEZ内へ弾道ミサイルを多く落下させています。

こうした監視活動や情報収集活動により、我が国周辺の軍事動向を常時継続的かつ正確に把握することは、我が国防衛に万全を期すための大前提となります。

北海道の最先端という過酷な環境で、時には緊迫した状況のもとで勤務に当たる自衛隊員の働きが、国民の命と暮らしを守り抜くための基盤となっていることを改めて隊員に伝えました。

旭川駐屯地を視察

陸上自衛隊旭川駐屯地を視察しました。司令部のある第2師団は、広大な北海道北部の守りの要です。

旭川には特科連隊や後方支援連隊、施設大隊を始めとする多くの部隊が所在しているほか、名寄、遠軽、留萌、上富良野の各駐屯地を含め、第2師団としては実に多くの隊員が所属しています。

陸上自衛隊は南西方面の防衛体制強化を始めとする各種取組を進めています。北海道においては、統合輸送能力により、南西方面に迅速に展開・移動させることを前提として高い練度を維持した1個師団、2個旅団、1個機甲師団を配置することとしています。

また、北海道の良好な訓練環境を最大限生かし、抑止力・対処力の実効性を更に高め、真に実効的な防衛力を築くことが、我が国の意思と能力を示すことになると考えています。