平和安全法案、衆院可決

一部の野党が途中退席しましたが大きな混乱もなく、時間通り円滑に討論と採決が行われ、自民・公明(与党)・次世代(野党)・無所属議員等の賛成により平和安全法案は衆議院で可決されました。一部のマスコミが強調しているような強行採決(その定義も曖昧ですが)ではなかったことを冒頭に申し上げます。

政府原案について、賛成しました。

国際情勢が刻々と変化する中で、我が国の平和と安全を切れ目なく守り抜く為に政府や自衛隊にどのような権限を与えるべきかを考えた時に、実効性のある安保法制を適切かつ可及的速やかに作り上げていくことは、責任ある国会の果たすべき役割であると思います。これまで、衆院特別委員会で既に十分な審議時間を費やしてきました。また、審議内容を精査してみると、明らかに繰り返しの質問や、採決引き延ばしの為と思われかねない質問が増えていました。衆議院での議論は尽くしたと判断しています。

野党の対案には反対しました。

論戦の質を高める事になるので対案には期待していましたが、残念ながら内容はあまりに物足りないものでした。また、その提出時期も非常に遅く、原因は、民主と維新が共同提出に関して、法案内容より採決時期の相違でもめていた事でした。政府案を修正するには値しないものと判断しています。

民主党政権時代、尖閣諸島沖に浸入した中国漁船、その船長を中国に配慮して送還させました。その後、自民党は終始一貫して安保法制の整備を訴えて政権交代を果たし、続く各級選挙においても同様に国民の支持を得てきました。従来の政府見解では、集団的自衛権を他国に加えられた武力攻撃を阻止する権利と定義し、個別的自衛権以外の武力行使は全て他国を守るための行為であり憲法違反だとされてきました。このままでは変容する国際情勢に対応することが出来ず、日本の国際的信用が失墜するばかりでなく、他国による侵略を許す直前まで来ています。今回の法制が成立することで、我が国が他国に侵略される蓋然性が低下する、すなわち自衛権を発動することなく国民が平和に安全に暮らせるようになります。自衛隊創設や日米安全保障条約締結のように、数年後に現在を振り返った時に、多くの日本人がこの法制は歴史的な意味があったと評価するでしょう。

この法制によって抑止力は明らかに高まります。当然ですが、我が国は侵略戦争を行いません。自衛戦争までは否定していませんが、決して望むものではありません。自衛戦争さえ回避するためには、他国による侵略を未然に防ぐ必要があります。近代戦争においては、スーパーコンピューターによる能力評価や模擬実験によって、おおよその戦闘結果を事前に把握できます。集団的自衛権の限定容認による軍事バランスの均衡と積極的平和主義に基づく平和外交こそ、我が国を侵略しようとする他国の試みを躊躇させる方策と言えます。

当然ですが、この法制は「合憲」と考えています。「合憲」「違憲」の判断は、成立後に最高裁判所で行うものであり、現時点で専門家(憲法学者や評論家等)やマスコミが決めるものではありません。

国民にとって外交や国防は常に「わかりにくい」との声を聞きます。通常それは身近な問題ではないからでしょうが、現在の国際情勢は既に身近な問題として捉えなければならない段階に来ています。政府は参議院での論戦を通じて、引き続き国民の理解を深めていく努力をしていく必要があります。私も与党の一員として、これからも最大限の協力を惜しまない所存です。

総合評価落札方式における予備自衛官の評価について

防衛省が発注する自衛隊施設の建設工事の総合落札方式において、予備自衛官を現場配置する場合に加点評価する施策ができました。

http://www.mod.go.jp/epco/dfaa/oshirase1_1_pdf/yobijieikan.pdf

予備自衛官には、現場の代理人を補佐し部隊との調整、作業員への教育を行ってもらいます。建設会社は、予備自衛官の現場配置期間延べ日数が30日・人以上が条件となります。これにより、予備自衛官の皆さんの知見を活かすことができ、駐屯地との調整も円滑に行われるため工事も順調に進み、工事の品質の確保に寄与するものと考えます。さらに新規参入企業の入札環境が整えられ、競争性の向上が期待できます。

なによりも、建設会社をはじめ日本企業が国防について理解していただき、積極的に予備自衛官を採用してもらうことによって、自衛官の再就職支援と予備自衛官の人材確保に資することになります。

平成27年7月1日以降に公告する案件から適用です。

※退職自衛官である予備自衛官及び即応予備自衛官が対象になります。下請けによる予備自衛官等の現場配置も適用されます。

国民の信頼を得た自衛隊

卒業式のシーズンですね。

昭和32年の防衛大学校第1回卒業式で吉田茂総理大臣が卒業生に訓示しましたが、その内容の一部を紹介します。

「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい。」

一方、内閣府が本日発表した「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」で、自衛隊に好印象を持つ回答が92.2%に達し、昭和44年の調査開始以来、過去最高となりました。東日本大震災での献身的な救援活動などで、存在が改めて評価された前回調査(平成24年1月)の91.7%をさらに上回ったことになります。

どう理解すれば良いのでしょうか。

日陰者と言われた不遇の時代を乗り越えて、防衛省・自衛隊が国民から信頼される組織になったことは心から喜ばしいことです。しかし、吉田茂総理の言葉を借りて言えば、現在の日本は国民が困窮し国家が混乱に直面してしまったことになります。喜んでばかりはいられず複雑な思いも交錯します。

戦後70年の今年、自衛隊の活動が更に適正に評価されるためには、まず憲法改正によって自衛隊の位置付けを明確化しなければなりません。

選挙権年齢の引き下げ

選挙権年齢を18歳に引き下げるための「公職選挙法等の一部を改正する法律案」を衆議院に提出しました。

前提として、昨年改正した「日本国憲法の改正手続に関する法律」によって、憲法改正に向けた国民投票権年齢は18歳に引き下げられることが決まっています(公布後4年経過が必要。その間に選挙権年齢が18歳に引き下げられた場合は4年を待たない)。

国民投票権と選挙権は異なるということ。

そして、今回選挙権年齢はが18歳に引き下げられたとしても、成人年齢が20歳から18歳になるわけではありません。今回の法案が成立すれば「大人になる前に選挙に行けるようになる」ということなのです。

果たして、これでよいのかどうか。私は当初は、国民投票権や選挙権年齢の引き下げ自体に反対でした。若者の精神年齢は低下している状況で、18歳の少年が主権の最たる選挙権を行使するに値する存在足りえるのどうか疑問だったからです。

しかし、よく分析した結果、現在は前向きに考えています。20代の投票率が極めて低い我が国において、18歳の高校生に国民投票権や選挙権を付与することで、学校教育の現場で憲法の事、政治や政策の事、法治国家日本における選挙権の重要性をリアルに学ぶチャンスが増えるからです。

若者の投票率が飛躍的に向上する可能性に期待します。

今後は、民法や少年法を改正していく必要性を感じています。すみやかに成人(大人)年齢を18歳に引き下げなければなりません。憲法改正国民投票権や選挙権などの権利に対しては、日本国民としての義務が伴います。大人としての義務を果たしてこそ、あらゆる権利を行使し、自己責任のもとで自由を謳歌できるにちがいありません。

この点について、国会には様々な意見がありますが、まずは党内の意見集約に向けて積極的に関与して参ります。

地方創生について

予算委員会などで活発に議論されている「地方創生」について基本認識を示しておきます。

●地方創生が目指すものは何か?

人口減少と地域経済縮小の悪循環というリスクを克服する観点から、東京一極集中を是正する、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる、地域の特性に即して地域課題を解決するという基本的な視点の下、まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立により、国民の希望を実現して人口減少に歯止めをかけ、50年後に1億人の人口を確保し、活力ある日本社会の維持を目指していきます。

●地方創生は、これまでの地域活性化とは何が違うのか?

国として、人口減少問題の克服に初めて本格的に取り組み、地方を主役に捉え、各省庁の縦割りを排し、具体的な目標を定めつつ、政策評価を行う「異次元の取り組み」です。

地方に新しい価値を生み出し、「ひと」が「しごと」を呼び、「しごと」が「ひと」を呼ぶ好循環を構築します。そのためには、これまでの地域活性化とは異なり、地方が主役となり、地域特性に応じた地方創生を展開することが必要となります。国は伴走型支援(情報支援、人材支援、財政支援)を行います。

●「まち・ひと・しごと創生総合戦略」のポイントとは何か?

日本の人口の将来の姿を示し、今後目指すべき将来の方向を提示する「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」を実現するため、今後5か年の目標や施策の基本的な方向、具体的な施策を提示するものが、「まち・ひと・しごと創生総合戦略(総合戦略)」です。

「しごと」と「ひと」の好循環として、また併せてこの好循環を支える「まち」の活性化として、次の目標に対応する施策を提示しています。

具体的には、

(1)2020年までの5か年で地方での若年雇用30万人分創出などにより、地方における安定的な雇用を創出する。

(2)現状、東京圏に10万人の転入超過があるのに対して、これを2020年までに均衡させるための地方移住や企業の地方立地の促進などにより、地方への新しいひとの流れをつくる。

(3)若い世代の経済的安定や、「働き方改革」、結婚・妊娠・出産・子育てについての切れ目のない支援などにより、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる。