NSSに経済班を設置

令和2年4月1日、官邸の国家安全保障局(National Security Secretariat)に、経済安全保障政策の司令塔として《経済班》を正式に設置しました。

人工知能や量子コンピューターなど革新的な技術が出現する中、安全保障の裾野は経済・技術分野に拡大。つまり先端技術の保護は安全保障に直結します。

また、新型コロナウイルス感染症の水際対策や、海洋権益の確保など、経済と安全保障を横断する領域での課題が顕在化しています。

こうした情勢を踏まえ、NSS経済班には経済分野における国家安全保障上の課題について、俯瞰的・戦略的な政策の企画立案・総合調整を迅速かつ適切に行なってもらいます。

第25回新型コロナウイルス感染症対策本部

○専門家会議による国内の感染状況ですが、「新規感染者数は都市部を中心に急増しており、爆発的感染拡大いわゆるオーバーシュートが見られている諸外国に比べ、感染者数の拡大スピードは緩慢であるものの、既に医療提供体制が逼迫しつつある地域もある」とのことでした。また、感染のまん延状況に応じて「感染拡大警戒地域」「感染確認地域」「感染未確認地域」の3つに区分し、それぞれの地域区分の考え方を示すとともに、各自治体で感染拡大防止のために想定される対応が示されています。

○その上で「市民の行動変容」をより一層強めていただく必要性が指摘されており、国民の皆様におかれては、バー・ナイトクラブ・カラオケ・ライブハウス等、夜間の繁華街への出入りを控えることとの指摘がなされたことを踏まえ、いわゆる3つの「密」を避ける行動の徹底など、感染拡大防止に向けたご協力を改めてお願いします。

○専門家会議の提言を踏まえ、文部科学省より、新学期からの学校再開について新たなガイドラインが報告されました。さらに、ガイドラインを踏まえ、学校の臨時休校を行う場合には、政府として、職場を休まざるをえなくなった保護者の皆さんへの助成金や放課後児童クラブや学校教室の活用といった地域の実情に応じた取組への支援など、これまでの支援をしっかりと継続してまいります。

○また、欧米諸国を中心に感染者の爆発的拡大がみられており、水際対策についても更なる強化を講じます。昨日、感染症危険情報をレベル3の「渡航中止勧告」にまで引き上げた、49の国と地域の全域については、入管法による入国拒否対象地域に追加し、‪3日午前0時から‬効力を発生させます。今回の追加により、合計73の国と地域について入国拒否を行いますが、これら対象地域から帰国をした邦人等に対しては、引き続き空港におけるPCR検査を確実に実施してまいります。

○加えて、既に感染症危険情報は全世界でレベル2以上となっているところであり、査証の制限措置に加え、全世界からの邦人を含む入国者に対して、検疫所長の指定する場所での14日間の待機及び公共交通機関の使用自粛を要請します。あわせて、検疫の強化措置を踏まえ、今後、空港で多数の帰国者が検査を受けることになることから、適切な待機場所の確保はもとより、外国との間の航空旅客便について、到着旅客数の抑制を要請します。これら措置についても、‪3日午前0時から‬運用を開始し、当面は今月末日までの実施とします。

○マスクについては、政府として、生産設備への投資を支援するなどの取組を進めてきた結果、電機メーカーのシャープがマスク生産を開始するなど、先月は、通常の需要を上回る月6億枚を超える供給を行ったところです。今月は、更なる増産を支援し、月7億枚を超える供給を確保する見込みです。

○全国の医療機関に対しては、先月中に1,500万枚のサージカルマスクを配布いたしました。更に、来週には、追加で1,500万枚を配布する予定です。

○加えて、高齢者施設、障害者施設、全国の小学校・中学校向けには、洗濯して繰り返し使用できる布マスクを確保し、順次、必要な枚数を配布してまいります。そして、来月にかけて、更に1億枚を確保するメドがたったことから、来週決定する緊急経済対策に布マスクの買い上げを盛り込むこととし、全国で5千万余りの世帯すべてを対象に、日本郵政の全住所配布のシステムを活用し、一住所当たり2枚ずつ配布します。再来週以降、感染者数が多い都道府県から、順次配布を開始する予定です。

日豪関係

1月に予定していた、スコット・モリソン首相の来日は、森林火災対応で延期になりました。3月初旬に予定していた、私のオーストラリア出張については、感染症対策のため、やはり延期しました。

言うまでもなくオーストラリアは我が国の友好国。最近では、森林火災対応での自衛隊による国際緊急援助によって緊密な日豪関係を再確認できました。「安倍・モリソン会談」ではお互いを《シンゾー・スコモ》と呼び合う間柄です。

本日、リチャード・コート駐日オーストラリア大使の公邸にお招きをいただき、日豪間の諸問題や今後の協力関係について意見交換をしたところです。

4週連続の弾道ミサイル

「また北朝鮮からミサイルが発射されました…」

スマートフォンに連絡が入り、目覚めの悪い日曜日の朝が始まった。議員宿舎から窓の外を眺めれば、季節外れの雪景色。換気のために開けた窓も、今朝はすぐに閉じてしまった。「また」とは、4週続けての弾道ミサイル発射を意味する。

本日6時10分頃、北朝鮮は江原道元山付近から、2発の短距離弾道ミサイルを北東方向に発射。ミサイルは約250km程度飛翔し、北朝鮮の東北部の沿岸付近に落下、いずれも我が国の排他的経済水域(EEZ)外と推定。

速やかに《国家安全保障会議(National Security Council)4大臣会合》の準備に入る。「4大臣」とは総理大臣・官房長官・外務大臣・防衛大臣を指す。私は官邸スタッフ(国家安全保障担当の総理大臣補佐官)として4大臣会合に出席せねばならない。

NSC4大臣会合では、集約した情報について協議を行った。その結果、今後更なる弾道ミサイル等の発射を行う可能性があることから、引き続き緊張感を持って、日米で緊密に連携して、情報収集・警戒監視に当たるとともに、国民の安全と安心の確保に万全を期すことなどを確認した。

また、我が国として直ちに厳重に抗議するなど北朝鮮を強く非難した。しかしながら、世界中で新型コロナウイルス感染症が拡大している、この危機的状況において、北朝鮮は国連安保理決議違反を犯しながら、毎週のように弾道ミサイルを発射するのは何故か。その意図は何か。

ミサイル関連技術や運用能力の向上を図っているだけなのだろうか。ここで予断を持って詳細を語ることは出来ないけれど、北朝鮮内部の様々な問題が影響している可能性など、更なる分析を進めていく。

第24回新型コロナウイルス感染症対策本部

新型コロナ特措法に規定する「基本的対処方針」を決定しました。これは国や地方公共団体、医療関係者、事業者、そして国民が一丸となって対策を更に進めていくため、準拠すべき統一的な指針となるものです。

《新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針》

https://www.cas.go.jp/jp/influenza/kihon_h.pdf

●全般的な方針
○情報の提供・共有及びまん延防止策により、各地域においてクラスター等の封じ込め及び感染者との接触機会の低減を図り、感染拡大の速度を抑制する。
○サーベイランス・情報収集及び適切な医療の提供により、高齢者等を守り、重症者及び死亡者の発生を最小限に食い止めるべく万全を尽くす。
○的確なまん延防止策及び経済・雇用対策により、社会・経済機能への影響を最小限にとどめる。

それぞれの事項について専門的な知見を十分に踏まえつつ、実効性のある方策がまとめられています。今がまさに国内の急速な感染拡大を回避するために極めて重要な時期であり、本対処方針を着実かつ迅速に実行し、政府一丸となって対応に全力を挙げてまいります。

また、世界全体で経済活動が縮小しており、我が国経済にも甚大な影響を及ぼしています。日本経済を再び確かな成長軌道へと回復させていくために見合うだけの強大な経済政策を打っていかなければなりません。26兆円の「総合経済対策」等に加えて、新たに補正予算を編成し、前例にとらわれることなく思い切った措置を、財政・金融・税制を総動員して講じます。

●対策の柱
○第1に「感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」です。足元の感染拡大への対応として、感染の連鎖を断ち切るためのクラスター対策を抜本的に強化するなど感染拡大防止策をさらに充実するとともに、感染者の急増に備え、重症者への医療に重点を置く医療提供体制の整備を早急に進めます。また、治療薬・ワクチン等の研究開発も、最優先の課題として位置づけ、その開発を一気に加速します。
○第2に「雇用の維持と事業の継続」です。フリーランスを含め、様々な形態で働く方々の雇用や生活を維持するとともに、中小・小規模事業者や個人事業主の方々が継続して事業に取り組めるよう、民間金融機関でも無利子の制度融資を受けることができる制度を整えるとともに、特に厳しい状況にある中小・小規模事業者等に対して、事業を持続するための新たな給付金制度を創設します。あわせて、新型コロナウイルスの影響を受け、休業等により収入が減少し、生活に困っている世帯に対し、生計維持のために必要な資金を迅速に交付する新しい給付金制度を創設します。
○第3に「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」です。今回の感染症の流行収束を見据え、甚大な影響を受けている観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業を対象として、日本国内における人の流れと街のにぎわいを作り出し、地域を再活性化するため、官民一体型のキャンペーンとして大規模な支援策を展開します。その際、東京2020オリンピック・パラリンピック大会の延期を踏まえ、この支援策を一層強化するとともに、雇用対策や資金繰り対策に更に万全を期してまいります。
○第4に「強靭な経済構造の構築」です。生産拠点の国内回帰支援等のサプライチェーン対策や海外展開企業の事業の円滑化、テレワーク・遠隔教育などICT等の活用による経済の強靭化・効率化を強力に進め、感染症に対して強靭な経済構造を構築します。その際、公共投資の早期執行により景気の下支えに万全を期します。
○第5に「今後への備え」です。新型コロナウイルス感染症対策に関する予備費を創設し、感染の状況や経済動向を踏まえ、必要な対策を躊躇なく講じていくための十二分の備えを整えます。

この5本柱からなる緊急経済対策について、今後10日程度のうちに取りまとめ、その後、速やかに補正予算を国会に提出します。