いわゆる「密約」について

 

岡田外務大臣の国際感覚は良いと思います。総理や官邸の外交オンチぶりを何とかフォローしているように見えます。しかし、就任当初から、非核三原則に絡む核持込みなどの、いわゆる各種「密約」の徹底調査を指示していることには疑問を抱いてしまいます。

 

現在は、外務省の内部調査で「関連文書が見つかった」との報告を受けて、新たに「有識者委員会」を設置して調査結果の検証作業を行っています。

 

政府は「密約」を認めるのでしょうか?誰のために?何のために?国民が望んでいるの?誰が得をするの?「密約」の調査及び検証の目的は何なのか、具体的な説明はありません。

 

「密約を暴く!」なんていうと、なんだか格好良さそうです。「ガラス張りにして、国民にすべての情報を開示する」・・・外交について、そのことが正しいかどうかは、よ〜く考えなければなりません。「マスコミが暴く」ことと「政府が認める」ことは、意味合いが全く異なります

 

外交は命懸けです。外交交渉の延長線上に戦争があります。外交の最終手段が戦争なのです。決して戦争にならないように、過去の担当者は外交交渉に最大限の注意を払ってきました。きれいごとでは済まない時もあったと思います。

 

日本に「密約」はあったのでしょう。多分どの国にもあります。少なくとも、相手側の国にとっても同様に「密約」であるに違いありません。それを一方の国が「暴く=約束を破る」とはどういうことか、さらによ〜く考えなければなりません。

 

いうまでもなく透明性は大事です。しかし、外国に日本の常識は通じないことがあります。どちらの常識が正しいか、日本の常識が間違っている場合も多々あります。全世界から「日本とは裏交渉ができない」と思われるデメリットは大きいですよ。

 

私は「信念をもって墓場まで持っていく」ことを肯定します。我々が注目するのは過去よりもむしろ未来です。すべては国益を最優先に考えて判断すべきではないでしょうか。皆さんの意見を伺いたく思います。

 

【写真】我が家の雑煮。熊本は「醤油味に丸餅」が主流?元日は朝五時に始動。事務所の「しめ縄飾り」と「門松」は後援会の方の手作りです。

 

友愛が通じない相手

 

報道によると、鳩山総理が電撃的に訪朝するかもしれないということ。政権交代以前から独自ルートで北朝鮮と極秘に接触を図ってきたことは永田町で言われていたことですが、一体これは何を意味しているのでしょうか?

 

「北朝鮮特定貨物の検査法案」は昨年の通常国会で廃案になりました。衆議院は通過したのですが、当時、民主党が多数の参議院で審議入りされないまま、衆議院会解散により廃案になったことは以前に紹介しました。

 

ところが、政権交代後の臨時国会で、ほぼ同じ内容の法案が政府提出法案として出てきました。しかし、変更点が二点あります。一つ目は、法案の名称。「貨物検査特別措置法案」となり、「北朝鮮」という名称を隠しました。二つ目は、第九条第二項の削除。これは、「海上自衛隊の措置」を規定した条項の削除です。

 

結果として、四日間しか会期延長をしなかったので成立断念。国連安保理の決議採択に主導的役割を示し、拉致問題や核・ミサイル問題を抱える北朝鮮に対し毅然とした態度を示すためにも、成立は急務であるのに何故?と思っていました。

 

そうです。「最初から成立させるつもりがなかった」のではないのか!!水面下で交渉中の北朝鮮への配慮があったと考えれば納得がいきます。北朝鮮は政権交代後の民主党との交渉を視野に、様々な情報(真偽は別)を提供していたのでしょう。

 

法治国家でもなく、偽物の遺骨を送りつける、無法者の独裁国家である北朝鮮。「対話と圧力」の「圧力」を強めることで、ようやくここまで追い込んできたのです。すんなりと話し合いに応ずる相手であれば、拉致被害者はとっくに全員帰って来ています。

 

訪朝することで、拉致・核・ミサイル問題が解決するなら即刻に行ってもらいたい。しかし、日米同盟がギクシャクしている中で、外交カードもなく、「友愛」外交がうまくいくとは思えません。あえて可能性を探せば、中国共産党高官とのルートでしょうか。

 

過去に名声を上げようとして失敗した大物議員がいます。今回も政権浮揚や選挙目当てだけの訪朝だとしたら止めてもらいたい。せめて、「北朝鮮特定貨物の検査法」を成立させ外交カードを持ってからでないと、とんでもない交換条件をのまされた上に事態が悪化することもあるということを警告しておきます。

学年同窓会で

 

高校の学年同窓会に出席しました。いつも通り思い出話に花が咲きますが、一段落すると政治の話題に。国家公務員や地方公務員の友人も多いですが、同級生なので立場を忘れての「本音トーク」です。

 

一番の話題は、「財政」「経済」について。みんな四十歳になって、職場では管理職など経営側の責任ある立場になる者も多い。また、自分の生活に加えて子どもの将来を考えるようになる。国の行く末を案じる友人が増えたような気がします。

 

彼等が言うには、鳩山連立政権の経済・財政運営と平成22年度予算編成には、大きな誤りと欠点があるとの事。将来の財政の姿、健全化への道筋(中長期の財政フレーム)を全く示さず、マニフェストだけに基づいて予算が作られたという不満の声を聞きました(それさえも、小沢幹事長の「天の声」で一部反故にされた)。

 

我が国の債務残高は対GDP170%という危機的な状況です。このまま財政規律のないまま国債の増発が行われれば、日本の国債は信用を失い、長期金利の上昇を招き、毎年の国債利払費が消費税収(約9.4兆円)を上回ることも現実になります。そんな国は他国にありません!!

 

総理は「不要不急な事業を見直すなどによって財源をきちんと確保する」と、空手形を切るばかりでした。できあがった予算案を見てもらうとわかるとおり、思い切った歳出削減も組み替えもできていない、財政規律もない、国債発行額が税収をはじめて上回った、とんでもないものになっています。

 

過剰な報道によって話題になった、自作自演の「事業仕分け」に国民は目を奪われましたが、削減額はわずか7,000億円程度。国債発行額(来年度の借金)は40兆円を上回ります。ケタが違います。

 

余談ですが、本物の「事業仕分け」は自民党政務調査会で始まりました。「無駄撲滅プロジェクトチーム」(通称:ムダボPT、座長:河野太郎)が専売特許です。知らない人が多かったので念のため。民間仕分け人やテレビは入れていませんでした。

 

政府を批判するばかりでなく、自民党も先の総選挙の公約と「平成二十二年度税制に関する基本的な考え方」での財政健全化目標をもとに、財政、経済、予算について詳細な見解を取りまとめなければなりません。どの政党も、いい加減に選挙目当ての政策や予算編成は止めましょう。「国滅びて、予算あり」では困ります。

謹賀新年

「みのる日記」をご覧の皆様へ

皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶びを申し上げます。平成二十二年を迎えるにあたり、一言所感を申し上げます。

昨年は皆様にとってどのような一年だったでしょうか。私にとっては、「自己実現」が出来なかったこと、「政権交代」したことが記憶に刻まれた年でした。

「自己実現」について。二期目当選という個人的目標が達成できませんでした。落選は候補者本人の問題だけでは済みません。支援してくださる方々や団体、家族の想いを考えると期待に応えられなかった事への申し訳なさ、悔しさがつのります。もっと政治家としての資質を磨き、能力を高めなければなりません。

「政権交代」について。自民党に敗北理由がありました。現政権がマニフェストや政策インデックスに掲げて実行しようとしている諸政策について、私は選挙前から警鐘を鳴らしてきました。それでも国民に悪い選択をさせてしまった。ようやく国民は冷静さを取り戻し、日本の行く末、明日の生活に危機感と不安感を持ち始めたようです。

特に、外交・安全保障の観点でみると、中国の脅威・北朝鮮の諸問題・領土問題など日本をとりまく環境は厳しい状況です。ここにきて新たな火種を抱えてしまいました。普天間基地移転問題・インド洋海自派遣撤退・日米地位協定の唐突な見直し発言などで日米同盟が揺らぎ始めたことです。解散直前に自民党内で原案を作成した定員増強が柱の「新防衛大綱」も実現不可能となりました。本当に残念です。

また、政府は旧社会党系議員による左翼思想に引っ張られて、極めて危険な政策を次々に法律化しようとしています。例えば、「外国人地方参政権」を認め、「夫婦別姓制度」を導入しようとしています。このままでは国家解体に向けて一直線です。

さらに、安倍内閣で成立した「教員免許更新制度」も支持母体である日教組の圧力によって通常国会で制度廃止になりそうです。ようやく機運が高まっていた憲法改正の議論に関しては、全く聞かなくなってしまいました。

どこの国の政府で、どこの国の国会議員なのか、誰のために政治を行うのか、今年は耳目を疑うような事態が続くでしょう。しかし残念ながら、現時点では「現政権の危うさ」が国民に広く伝わっていないのが現状のようです。

昨年十一月に「天皇陛下御即位二十年奉祝行事」がつつがなく終了したころ、「自民党熊本県第一選挙区支部長」に再任しました。また今年から気持ち新たに政治活動を続けていく決意でおります。これからも、日本再生の為に存分に働かせていただく所存です。

そして、今年七月には参議院議員選挙が行われます。現政権のままでは、近い将来に「国家存亡の危機」を迎えてしまうことが明白です。その危機を回避するためには、一日も早く健全な保守政権を発足させる必要があります。参議院議員選挙をその足がかりにしなければなりません。

自宅や事務所に多くの方から年賀状をいただきました。誠にありがとうございました。例年の事ですが、公職選挙法により、選挙候補予定者は選挙区において季節のご挨拶を郵便等で出すことが許されていない旨をご了承願います。この場をお借りして深くお詫び致します。

天皇陛下の弥栄を心より御祈念申し上げます。

平成二十二年元旦

木原 稔

農家を歩いて

選挙後、農業の現場を歩いて農家の人に話を聞いた感想を書きます。

農家の皆さんは、従来の自民党の農業政策に不満があったことは事実でした。しかし、これからの民主党の農業政策には訳が判らず不安を抱いています。

特に、米の戸別所得保障には大きな不安があるようです。この政策は生産コストと販売価格の差を「全国一律」の単価として交付するため、生産性が高く(コストが低く)販売価格が高いところは有利となり、棚田など生産性が低く(コストが高く)販売価格が劣るところほど逆に不利になって損をする仕組みです。

また、この「ニセ所得保障」は余剰がある米だけを先行させて、他の作物を後回しにしたことも、農家の混乱を招いています。麦・大豆・飼料作物は現行よりも単価が低くなり、集団加算もないので相当な減収となります。熊本の麦・大豆生産農家では悲鳴があがっています。仕方なく米を作り、また減反に協力することは、「来年から他の作物に挑戦しよう」という若い人の多様な農業の展開を阻害することになります。

これまで自民党は意欲ある農業の担い手に対して農地の集積を進め、規模拡大を通じ、生産性の高い競争力に富んだ農家の育成に努めてきました。この「農業構造改革」は正しかったと思います。ところが、現政権は≪無駄≫と称して農地の貸し手への奨励金を廃止したため、生産現場では≪農地の貸しはがし≫という事態が生じています。このままでは、脱サラして農業を始めた人や、農地を借りて規模拡大を進めていた意欲ある人の夢を壊してしまいます。

農業構造改革を進めてくことが、将来的に「食料自給率の向上」と「担い手の育成」につながると信じています。「高速道路無料化」と同じで、マニフェストには書いてあったけれども、「所得保障」という選挙目当ての社会主義的政策は、期待していたものではありませんでした。今、農家は困惑しています。

【写真】今年最後の辻立ち。皆さん、良いお年を!